第9回|看護師が退職後に必要な手続き一覧|健康保険・年金・失業給付・住民税をまとめて解説

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退職日が決まり、「やっと少し休める」と思ったのもつかの間。

次の職場へすぐに入職しない場合、退職後にはいくつかの手続きが待っています。

「健康保険はどうすればいい?」
「年金は自分で切り替えるの?」
「失業給付はいつハローワークへ行けばいい?」
「住民税は退職したら払わなくていい?」

初めて退職する看護師にとっては、分からないことばかりではないでしょうか。

特に注意したいのが、健康保険や年金などには手続き期限があることです。

この記事では、病院や施設などを退職してから次の職場へ入職するまでに必要になる主な手続きを、順番に整理します。

※この記事では主に、勤務先の健康保険・厚生年金・雇用保険に加入していた人が、退職後すぐには再就職しないケースを想定しています。個別の状況によって手続きは異なります。


退職後に必要な手続きは大きく5つ

退職してすぐに別の勤務先へ入職する場合は、新しい勤務先が健康保険や厚生年金などの手続きを進めてくれることが一般的です。

一方、退職から再就職までに期間が空く場合は、自分で行わなければならない手続きがあります。

主なものは次の5つです。

手続き主な手続き先ポイント
健康保険市区町村・加入していた健康保険・家族の勤務先など退職後の加入先を決める
年金市区町村・年金事務所など条件に該当すれば国民年金へ切り替える
雇用保険ハローワーク基本手当を希望する場合は求職申込みなどを行う
住民税市区町村など退職後も納付が必要
所得税再就職先・税務署など年末調整または確定申告で精算する場合がある

一度に全部やろうとすると大変です。

まずは、期限が短い健康保険と年金から確認すると整理しやすくなります。


① 健康保険|退職したら3つの選択肢から考える

退職すると、それまで勤務先で加入していた健康保険の被保険者資格を失います。

そのため、次の職場にすぐ入らない場合は、新しい健康保険をどうするか決めなければなりません。

代表的な選択肢は、

「任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険の被扶養者」

の3つです。協会けんぽも、退職後の健康保険としてこの3つを案内しています。

任意継続

一定の条件を満たせば、退職前に加入していた健康保険を退職後も継続できる制度があります。

例えば協会けんぽの場合、

  • 退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間がある
  • 退職日の翌日から20日以内に申し込む

という条件があります。加入期間は最長2年間です。

注意したいのが保険料です。

在職中は勤務先と本人で健康保険料を負担していますが、退職後の任意継続では事業主負担がなくなるため、原則として本人が全額を負担します。協会けんぽでは、退職時の保険料のおおむね2倍になりますが、標準報酬月額の上限などがあるため、単純に必ず2倍になるとは限りません。

国民健康保険

もう一つの代表的な方法が、住んでいる市区町村の国民健康保険に加入することです。

国民健康保険料は、前年の所得や世帯の状況、自治体などによって異なります。

そのため、

「任意継続と国保では、どちらが安いの?」

という疑問には、一律の答えはありません。

退職する前後に両方の保険料を確認して比較するのがおすすめです。

家族の健康保険の扶養に入る

配偶者など家族が勤務先の健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば、その健康保険の被扶養者になれる可能性があります。

被扶養者になれば本人の健康保険料負担はありませんが、収入などの認定条件があります。条件については、家族が加入している健康保険や勤務先に確認しましょう。

健康保険は退職前から比較しておこう

特に注意したいのが任意継続です。

協会けんぽの場合、申請期限は退職日の翌日から20日以内です。

「退職して落ち着いてから考えよう」

と思っていると、期限を過ぎてしまう可能性があります。

できれば退職前に、

任意継続の保険料はいくらか
国民健康保険料はいくらか
家族の扶養に入れる可能性があるか

を確認しておきましょう。


② 年金|厚生年金から国民年金への切り替えを確認する

勤務先で働いている間は、通常は厚生年金に加入しています。

退職して次の会社にすぐ就職しない20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金への切り替えが必要になります。

日本年金機構では、退職日の翌日から14日以内の手続きを案内しています。

手続きには基礎年金番号が分かるものや、退職日を確認できる書類などが必要になる場合があります。

また、配偶者の扶養に入り、第3号被保険者になる場合などは手続きが異なります。

「健康保険を切り替えたから年金も自動的に切り替わっているだろう」

と思い込まないことが大切です。


③ 失業給付|離職票が届いたらハローワークへ

退職後に再就職する意思があり、一定の受給要件を満たしている場合には、雇用保険の基本手当、いわゆる「失業給付」を受けられる可能性があります。

基本手当を受けるには、単に仕事を辞めただけではなく、ハローワークで求職申込みなどの手続きを行う必要があります。

一般的には退職後、勤務先から離職票を受け取り、住所地を管轄するハローワークで手続きを進めます。

ここで覚えておきたいのが、

「退職したら自動的に失業給付が振り込まれるわけではない」

ということです。

また、基本手当を受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間です。所定給付日数が残っていても受給期間を過ぎれば受け取れなくなるため、再就職活動をする予定なら早めに確認しておきましょう。

自己都合退職か会社都合退職か、年齢、雇用保険の加入期間などによって給付の扱いが異なる場合があります。


④ 住民税|退職しても支払いはなくならない

退職後に意外と忘れやすいのが住民税です。

会社員の場合、通常は給与から住民税が天引きされています。

そのため給与明細だけを見ていると、自分で税金を払っている感覚があまりないかもしれません。

しかし退職して給与がなくなったからといって、すでに課税されている住民税までなくなるわけではありません。

退職時期などによって、

最後の給与や退職金などから残額が一括徴収される場合や、
自治体から送られてくる納付書などで自分で支払う普通徴収に切り替わる場合

などがあります。

退職後しばらく収入がない予定の人ほど、

「健康保険料」
「国民年金保険料」
「住民税」

を合わせて考えておくことが大切です。

退職直後は収入が減っているのに支払いが続くことがあるため、生活費とは別にある程度の資金を確保しておくと安心です。


⑤ 所得税|源泉徴収票は必ず保管しておこう

所得税も確認しておきましょう。

勤務中は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。

通常の会社員であれば年末調整で最終的な税額を精算しますが、年の途中で退職すると状況が変わります。

その年のうちに再就職した場合は、前の勤務先から発行された源泉徴収票を新しい勤務先へ提出し、年末調整を受けるケースがあります。

一方、年内に再就職せず年末調整を受けていない場合などは、確定申告によって所得税を精算できる場合があります。

そのため、退職した勤務先から受け取った源泉徴収票は大切に保管してください。


退職する前に受け取る書類を確認しておこう

退職後の手続きをスムーズに進めるためには、勤務先からどのような書類を受け取るのか確認しておくことも大切です。

代表的なものとして、

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 健康保険の資格喪失を確認できる書類
  • 退職証明書など

があります。

ただし、全員にすべての書類が自動的に交付されるとは限りません。

「何の手続きに、どの書類が必要なのか」を確認して、必要なものが届かない場合は前の勤務先へ問い合わせましょう。


再就職が決まったらどうする?

退職後の手続きを終えたあと、新しい病院や施設などへの就職が決まったら、今度は再就職に伴う切り替えがあります。

例えば国民健康保険に加入していた場合は、新しい勤務先の健康保険に加入した後、国民健康保険の脱退手続きが必要になる場合があります。

国民年金から厚生年金へ移る場合は、原則として新しい勤務先が厚生年金の資格取得手続きを行います。

任意継続中に新しい勤務先の健康保険へ加入した場合も、任意継続の資格を喪失します。

再就職したからすべて自動的に片付くとは限らないため、それまで加入していた制度の終了手続きも確認しましょう。


退職後の手続きチェックリスト

最後に、退職から再就職までの流れを簡単に整理します。

退職前
☐ 任意継続と国民健康保険の保険料を比較する
☐ 家族の健康保険の扶養に入れるか確認する
☐ 会社から受け取る書類を確認する
☐ 退職後の生活費・税金・社会保険料を準備する

退職後
☐ 健康保険の加入手続きをする
☐ 必要な場合は国民年金への切り替えをする
☐ 離職票など必要書類を受け取る
☐ 失業給付を希望する場合はハローワークで手続きをする
☐ 住民税の支払い方法を確認する
☐ 源泉徴収票を保管する

再就職後
☐ 新しい勤務先の健康保険・厚生年金への加入を確認する
☐ 国民健康保険や任意継続など、それまでの健康保険の手続きを確認する
☐ 新しい勤務先へ必要に応じて源泉徴収票を提出する
☐ 雇用保険の給付を受けている場合はハローワークで必要な手続きを確認する


「退職してから考える」より、退職前に準備しておこう

看護師として毎日忙しく働いていると、退職することそのものに意識が向き、

「退職後のことは辞めてから考えればいい」

と思ってしまいがちです。

しかし、退職後には健康保険、年金、雇用保険、税金など、生活に直結する手続きがあります。

特に健康保険や年金には期限があります。

だからこそおすすめしたいのは、退職日が決まった時点で「退職後に何をするか」を一覧にしておくことです。

そしてもう一つ大切なのは、退職後すぐに次の職場へ行かなければならないわけではないということ。

少し休んでから転職活動を始める人もいれば、在職中に次の職場を決める人もいます。

どちらが正解ということではありません。

自分の生活費や社会保険、失業給付などを確認したうえで、自分に合った再就職までのスケジュールを考えてみましょう。


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