「毎週」「その他」「なし」と会社カレンダーの落とし穴
「毎週」「その他」「なし」と会社カレンダーの落とし穴
求人票に、こんな記載があったとします。
週休二日制:その他
年間休日:90日
「週休2日制と書いてあるのに、年間休日が90日しかないの?」
あるいは、こんな求人もあります。
週休二日制:毎週
年間休日:104日
「完全週休2日制なら、土日祝日は休めるんじゃないの?」
さらに、年間休日が70日程度なのに、週休二日制の欄が「なし」ではなく「その他」になっている求人を見かけることもあります。
これらは、休日制度を読み解くうえで重要な疑問です。
第1回では「週休2日制」と「完全週休2日制」の違い、第2回では年間休日105日・110日・120日の違いを解説しました。
今回は、その2つをさらに掘り下げます。
週休二日制の表示と年間休日数を組み合わせ、実際にどんな勤務が考えられるのか。
具体的なケースを使って徹底解説します。
※以下の勤務表は、求人票の読み方を理解するための架空の例です。実際の休日制度は、各求人の休日欄・特記事項・会社カレンダー・労働条件通知書などで確認してください。
まず押さえたい「毎週」「その他」「なし」の違い
ハローワークの求人票には、「週休二日制」という項目があります。
そこで使われる主な表示が、次の3つです。

ただし、ここで注意したいことがあります。
「その他」は、休日数や勤務パターンを一つに特定できる表示ではありません。
隔週で2日休める職場もあれば、月に1回だけ週2日休みになる職場も考えられます。
「その他」という表示を見たら、その下にある休日の説明を読むことが必要です。
また、「毎週」と書かれていても、土日が休みとは限りません。
この違いを、具体例で見ていきましょう。
ケース1|完全週休2日制・土日休み・年間休日104日
まずは、最もイメージしやすいケースです。

1年間は約52週です。
52週 × 2日 = 約104日。
毎週土曜日と日曜日が休みなら、年間休日はおおむね104〜105日になります。実際の日数は対象年や休日の配置によって異なります。
ここで重要なのは、完全週休2日制でも、祝日や年末年始が別途休みになるとは限らないということです。
たとえば、月曜日が祝日でも、その職場で祝日を休日と定めていなければ勤務日です。
12月31日や1月2日も、土日に当たらず、特別な休日の設定がなければ勤務日になる可能性があります。
つまり、年間休日104日程度の完全週休2日制は、毎週2日休めても、祝日・夏季・年末年始の追加休日がほとんどない勤務形態として考えられます。
ただし、年間休日数だけで年末年始の勤務を断定することはできません。
確認する質問
「土日以外の祝日や年末年始は、原則として勤務日でしょうか?」
ケース2|完全週休2日制・水曜と日曜休み・年間休日104日
完全週休2日制と聞くと、土日休みを想像しがちです。
しかし、毎週2日休めれば、休日の曜日は土日である必要はありません。

クリニックや小売業などでは、このように平日と日曜日を組み合わせた休日も考えられます。
この場合、毎週2日の休みは確保されています。
しかし、土曜日は勤務日です。
友人や家族が土日休みの場合、予定を合わせられるのは主に日曜日になります。
「毎週」と「土日休み」は別の情報なのです。
確認する質問は、
「休日は毎週水曜日と日曜日で固定されていますか? 祝日はどうなりますか?」
です。
ケース3|完全週休2日制・曜日不定・年間休日104日
次は、病院や介護施設で見かけるシフト制です。

この場合、毎週2日休みなので完全週休2日制です。
しかし、土曜日も日曜日も勤務になる週があります。
ここで混同しやすいのが、求人票にある2つの「その他」です。
休日:その他
と
週休二日制:その他
は別の項目です。
休日欄の「その他」は、休日の曜日や決め方を示すものです。一方、週休二日制の「その他」は、毎週2日休みとは限らない制度を示します。
したがって、
「休日:その他」「週休二日制:毎週」
という組み合わせは矛盾ではありません。
確認する質問は、
「毎週2日の休日は確保されていますか? 土日休みや連休は月に何回程度ありますか?」
です。
ケース4|完全週休2日制・年間休日120日
では、完全週休2日制で年間休日120日ならどうでしょうか。
毎週2日の休日だけなら、年間約104日です。
120日との差は、おおむね16日。
この追加分が何によって設定されているかがポイントになります。

ただし、祝日がもともとの土日休みと重なった場合、単純に祝日の日数を足すことはできません。
また、病院では祝日に勤務して、別の日を休日として設定する制度も考えられます。
そのため、年間休日120日でも土日祝休みとは限りません。
「何日休めるか」と「いつ休めるか」は、必ず分けて確認しましょう。
ケース5|週休二日制「その他」・隔週土曜休み・年間休日90日程度
ここからが今回の重要なポイントです。
求人票に、
週休二日制:その他
と書かれていた場合です。
たとえば、次のような勤務を考えてみます。

4週間で休日は6日です。
6日 × 約13回 = 年間約78日。
ここに祝日や年末年始などの追加休日が12日程度あれば、年間休日は約90日になります。
つまり、
週休二日制「その他」・年間休日90日
という求人は、隔週で2日休みになる制度などが考えられます。
ただし、年間90日だから必ず隔週休2日というわけではありません。
会社カレンダーやシフトによって、休日の配置は変わります。
確認する質問は、
「週2日休めるのは月に何回ですか? 年間90日の休日の内訳を教えてください」
です。
ケース6|週休二日制「その他」・4週6休・年間休日90日程度
求人票の特記事項に、
4週6休
と書かれている場合があります。
これは、4週間の中で6日の休日を設ける勤務形態です。
たとえば、次のような配置です。

4週6休の休日だけなら、年間換算で約78日です。
そこに別途設定された休日が加われば、年間90日前後になる場合があります。
ただし、4週6休と書いてあっても、毎回この順番で休日が配置されるとは限りません。
4週間で合計6日休めることと、毎週2日休めることは違います。
また、4週6休という記載だけで、週休二日制欄の表示を必ず「その他」と断定することもできません。実際に週2日休みとなる週があるかなど、休日制度の内容を確認する必要があります。
ケース7|週休二日制「その他」・4週5休・年間休日70日程度
さらに休日が少ないケースを考えてみます。
4週5休
です。
これは4週間で休日が5日という勤務形態です。
たとえば、

4週間で5日休みなので、
5日 × 約13回 = 年間約65日。
ここに追加休日が5日程度あれば、年間休日は約70日になります。
この例では、第1週に2日休みがあります。
したがって、週2日の休日がある週を設ける制度として、「その他」に該当することが考えられます。
一方、実際の休日の配置によっては、週休二日制に該当しない場合もあります。
年間休日70日という数字だけで、「その他」か「なし」かを判断することはできません。
重要なのは、週2日休みになる週が実際に設定されているかどうかです。
ケース8|年間休日70日でも「週休二日制:なし」となる例
今度は、次のような勤務を考えてみましょう。
- 毎週日曜日だけが休日
- 週2日休みになる週はない
- 年末年始などに追加の休日がある
毎週日曜日だけなら、年間約52日です。
ここに会社が定める追加休日が18日あれば、年間休日は約70日になります。
しかし、毎週の休日は原則として1日であり、週2日休みになる週を設ける制度ではありません。
このような場合は、週休二日制「なし」となることが考えられます。
つまり、同じ年間休日70日でも、
4週5休などで週2日休みの週がある制度
と、
毎週1日休み+追加休日という制度
では、週休二日制の表示が異なる可能性があります。
年間休日数だけでは、休日制度の全体像は分からないのです。
ケース9|「会社カレンダーによる」は何を意味する?
求人票の休日欄で、よく見かけるのが、
会社カレンダーによる
という記載です。
これは、会社が定めた年間の勤務日・休日のカレンダーに従うという意味です。
ただし、これだけでは休日の具体的な配置は分かりません。
たとえば、次のような職場が考えられます。
製造業の例
繁忙期は土曜日も勤務。
閑散期は土日休み。
年末年始や夏季にはまとまった休日を設定。
小売業の例
土日祝日は営業。
休日は平日を中心にシフトで設定。
医療・介護施設の例
365日稼働。
月ごとの勤務表で休日を決定。
このように、会社カレンダーやシフト制という言葉だけでは、完全週休2日制なのか、週休二日制「その他」なのかは分かりません。
「会社カレンダーによる」は、休日数を保証する言葉ではないのです。
確認したいのは、
「年間の勤務カレンダーを見せてもらえますか?」
「週1日しか休めない週はありますか?」
「繁忙期の土曜出勤は年間何回ですか?」
という点です。
ケース10|年間休日104日なのに「週休二日制:その他」もあり得る
ここまで読むと、
「年間休日104日なら完全週休2日制では?」
と思うかもしれません。
しかし、そうとは限りません。
たとえば、
- 繁忙期は週1日休み
- 閑散期は週2日休み
- 年末年始にまとまった休日を設定
という会社カレンダーで、年間休日の合計が104日になる場合も考えられます。
年間休日が同じ104日でも、
毎週2日ずつ休む104日
と、
週によって休日数が変わる104日
では、生活リズムが異なります。
年間休日数は「合計」、週休二日制の表示は「休日の設け方」を読むための情報です。
両方を確認する必要があります。
一目で分かる!休日制度と年間休日の比較表
ここまでのケースを整理してみましょう。

※表示は説明用の例です。「4週5休」「4週6休」や年間休日数だけから、ハローワークの週休二日制区分を機械的に決めることはできません。
年間休日70日・90日・104日・120日を勤務日数で比較する
1年間を365日として、休日数を勤務日数に置き換えてみましょう。

年間休日70日と120日では、年間50日の差があります。
5年間、休日数が同じだと仮定すれば250日の差です。
ただし、休日数が多ければ、それだけで自分に合う求人と決まるわけではありません。
給与、勤務時間、残業、通勤時間、夜勤、仕事内容なども合わせて比較することが大切です。
看護師の場合は「夜勤明け」と「公休」も確認する
病院の求人では、
4週8休
月9日休み
シフト制
といった記載も見かけます。
ここで注意したいのが、夜勤明けです。
たとえば、16時間夜勤の場合、
- 月曜日:夜勤入り
- 火曜日:夜勤明け
- 水曜日:公休
という勤務があります。
火曜日は朝に仕事が終わるため、昼間は自宅で過ごせるかもしれません。
しかし、夜勤明けをそのまま丸1日の休日と考えることはできません。休日の法的な扱いは勤務形態などによっても異なります。
求人票で年間休日104日と書かれていても、夜勤明けの扱いや休日の配置によって、実際の生活リズムは大きく変わります。
看護師なら、次の質問も加えましょう。
「夜勤明けの翌日は原則として公休ですか?」
「夜勤明けを挟まずに連続勤務になることはありますか?」
「希望休は月何日出せますか?」
「土日休みや連休は月に何回程度ありますか?」
「年間休日が少ない=直ちに違法」ではない
ここは誤解しないようにしたいところです。
労働基準法では、原則として毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えることが定められています。
ただし、休日の最低基準を満たしていれば、どれほど長時間働かせてもよいという意味ではありません。
労働時間には原則として1日8時間・週40時間という法定労働時間の規制があり、例外や変形労働時間制などの制度も関係します。
たとえば、年間休日70日で1日8時間勤務の場合、単純計算では、
365日 − 70日 = 295勤務日。
295日 × 8時間 = 年間2,360時間。
となります。
この数字だけで違法と断定することはできませんが、労働時間制度や所定労働時間を詳しく確認する必要があります。
年間休日が少ない求人では、休日数だけでなく、1日の所定労働時間・週の労働時間・変形労働時間制の有無まで確認することが重要です。
求人票を見ながら使える「あんこ式・休日確認10項目」

全部を一度に確認できなくても構いません。
求人票で分からない部分をメモし、ハローワークの相談窓口や求人先に確認していけばよいのです。
迷ったら、この3つの質問から始めよう
求人票を見て、週休二日制「その他」と書かれていたら、まずは次の3つを確認しましょう。
①「週2日休めるのは、月に何回ですか?」
「その他」の具体的な意味を確認できます。
②「年間休日○日は、どのような内訳ですか?」
毎週の休日と祝日・夏季・年末年始などの関係を確認できます。
③「年間の会社カレンダーや勤務表の例を見せてもらえますか?」
数字だけでは分からない、実際の休日の配置を確認できます。
この3つを聞くだけでも、休日制度の見え方は変わってきます。
「週休2日制」という言葉ではなく、自分の休日を確認しよう
今回のポイントを振り返ります。
完全週休2日制でも、土日休みとは限りません。
毎週水曜・日曜休みも、曜日不定のシフト制も、毎週2日の休日が確保される制度なら完全週休2日制になり得ます。
完全週休2日制でも、年間休日120日とは限りません。
毎週2日の休日だけなら、年間約104日前後です。
週休二日制「その他」でも、休日の取り方はさまざまです。
隔週2日休み、4週5休・4週6休のような勤務形態、会社カレンダーによる変則的な休日設定など、具体的な内容を確認する必要があります。
そして、
年間休日70日・90日・104日という数字だけでは、「毎週」「その他」「なし」の区分は決められません。
求人票を見るときに大切なのは、
「週休2日制と書いてあるから大丈夫」
と判断することではありません。
「私は、いつ、何日、どのように休めるのか」
を確認することです。
転職してから、
「完全週休2日制なのに土曜日は勤務だった」
「週休2日制なのに週1日しか休めない週が多かった」
「年末年始も普通に勤務だった」
と驚かないために。
休日欄は、給与欄と同じくらい丁寧に読み解いていきましょう。

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