第5回|「年間休日」と「有給休暇」は別物|有給は年間休日に含まれる?

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求人票に、

年間休日120日

と書いてあったとします。

さらに、

年次有給休暇10日

という記載も見つけました。

ここで気になるのが、

「120日の中に有給10日が入っているの?」

それとも、

「年間休日120日に、有給10日がプラスされるの?」

ということではないでしょうか。

結論から言えば、年間休日と年次有給休暇は別のものとして考えるのが基本です。

年間休日は、勤務先があらかじめ定めている「働く必要のない日」。

一方、有給休暇は、本来は労働日である日に、一定の要件のもとで賃金を受けながら休むことのできる制度です。

この違いを理解しておくと、求人票の「休み」をかなり正確に比較できるようになります。

今回は、年間休日と有給休暇の違い、夏季休暇や特別休暇との関係まで整理します。


そもそも「年間休日」とは?

年間休日とは、一般的に会社や施設が定める1年間の休日の合計です。

たとえば、

  • 毎週の休日
  • 祝日
  • 年末年始の休日
  • 夏季に会社・施設が休日として設定する日
  • その他、勤務先が定める休日

などが該当します。

ただし、どの休みを年間休日に含めるかは、その職場の勤務カレンダーや就業規則などによって異なります。

そのため、

「夏休みがある=必ず年間休日とは別に増える」

とは限りません。

求人票を見るときは、年間休日の数字だけでなく、休日欄の内訳も確認しましょう。


年次有給休暇とは?

年次有給休暇は、一定の要件を満たした労働者に法律上付与される休暇です。

原則として、

雇い入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤

した労働者には、通常の労働者の場合、まず10日の年次有給休暇が付与されます。

その後、継続勤務年数に応じて付与日数が増えていきます。

一般的な週5日勤務などの場合は、次のようになります。

継続勤務年数付与日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

※週の所定労働日数が少ない労働者などには、比例付与となる場合があります。

つまり、有給休暇は会社が「休日」として最初から設定している日とは違い、労働者に付与される休暇です。


年間休日120日+有給10日なら「130日休める」?

ここは少し慎重に考える必要があります。

年間休日120日の職場で、有給休暇10日が付与され、その10日をすべて取得できたと仮定すれば、

年間休日120日+有給取得10日=年間で仕事をしない日が130日

という計算はできます。

ただし、

「年間休日130日」になったわけではありません。

あくまで、

年間休日:120日
有給取得:10日

です。

この2つは分けて考えます。

また、有給休暇は付与された日数と実際に取得した日数が同じとは限りません。

求人を比較するときには、

年間休日数

と

有給休暇の取得状況

を別々に見るのがおすすめです。


求人票の「有給休暇10日」は年間10日しか休めないという意味ではない

ハローワークなどの求人票で、

6か月経過後の年次有給休暇日数 10日

という記載を見ることがあります。

これを、

「この会社では有給が年間10日しかない」

と受け取らないようにしましょう。

これは一般に、入社から6か月経過した時点で付与される年次有給休暇の日数を示しています。

その後も継続して勤務し、要件を満たせば付与日数は増えていきます。

求人票の「10日」という数字だけを見て、

「有給が少ない会社だ」

と判断するのは早すぎます。


有給休暇は入社初日から必ず10日もらえるわけではない

ここも転職時には重要です。

法律上の原則では、入社後すぐに10日付与されるわけではなく、先ほど説明した要件を満たした場合、入社から6か月後に10日が付与されます。

ただし、勤務先によっては、

入職時に付与する

入職時に一部を付与し、後から残りを付与する

など、法律の基準を上回る制度を設けている場合もあります。

看護師の場合、転職直後に、

「子どもの学校行事がある」

「通院の予定がある」

「家族の用事がある」

など、休みが必要になることもあります。

そのため、

「有給はいつから使えますか?」

という点も、求人選びでは意外に重要です。


有給休暇の「付与日数」と「取得日数」は違う

求人票を見るときに、もう一つ覚えておきたい違いがあります。

有給付与日数

と

有給取得日数

は別です。

たとえば年間20日の有給休暇が付与されていても、実際の取得が8日なら、

付与20日・取得8日

です。

反対に、有給を取得しやすい職場なら、付与された休暇をより有効に使える可能性があります。

したがって転職先を比較するときは、

「有給がありますか?」

だけでなく、

「実際にはどのくらい取得されていますか?」

という視点を持つことが大切です。


年5日の有給休暇取得義務とは?

現在の制度では、年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、使用者には原則として、そのうち年5日について時季を指定するなどして取得させる義務があります。

ただし、労働者自身が取得した日や、労使協定による計画的付与で取得した日は、その5日に含めることができます。

ここで注意したいのは、

「有給は5日しか取れない」という意味ではない

ということです。

5日は使用者側に課された取得確保の基準であり、労働者に付与された年次有給休暇が5日に制限される制度ではありません。


夏季休暇は年間休日に含まれる?

これは勤務先の制度によります。

たとえば、

職場A

年間休日120日
その中に夏季の休日3日を含む

というケースもあれば、

職場B

年間休日120日
+夏季特別休暇3日

という制度も考えられます。

同じ「夏季休暇3日」と書いてあっても、実際に年間で休める日数が違う可能性があります。

求人票に、

夏季休暇あり

と書いてあったら、

「年間休日○日の中に含まれていますか?」

と確認すると分かりやすいでしょう。


年末年始休暇も同じ

年末年始も同様です。

たとえば一般企業なら、

12月29日〜1月3日

を会社休日として年間休日に含めていることがあります。

一方、病院や介護施設は年末年始も稼働していることが多く、全員が同じ日に休めるとは限りません。

看護師の場合、

「年末年始休暇あり」

だけを見るのではなく、

何日付与されるのか
交代で取得するのか
年間休日に含まれるのか
年末年始勤務には手当があるのか

などを確認すると、より実態が分かります。


「特別休暇」は有給休暇とは別物

求人票や病院の採用ページでは、

特別休暇

という言葉もよく見かけます。

たとえば、

  • 慶弔休暇
  • 結婚休暇
  • 忌引休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 病気休暇

などです。

これらは年次有給休暇とは別の制度です。

ただし、特別休暇の種類、取得条件、日数、賃金が支払われるかどうかは勤務先によって異なります。

「特別休暇あり」という言葉だけではなく、内容まで確認しましょう。


看護師なら「希望休」も分けて考える

看護師の求人では、

希望休 月3日まで

などと書かれている場合があります。

この「希望休」も、年間休日や有給休暇とは別の話です。

希望休とは一般に、シフトを作成するときに、

「この日を休日にしてほしい」

と希望を出す仕組みです。

もともとの休日を希望日に配置するだけなら、休日数そのものが増えるわけではありません。

たとえば月9日休みの職場で、

希望休3日

なら、

月9日の休日のうち3日について希望を出せる、という運用も考えられます。

「希望休3日+月9日休み=12日休める」

という意味ではありません。


看護師なら「夜勤明け」と休日も混同しない

看護師のシフトでは、

夜勤 → 明け → 休み

という勤務があります。

夜勤明けは朝に勤務が終了するため、

「ほぼ休み」

と感じることがあります。

しかし、夜勤明けの日と、暦日としての休日は同じとは限りません。

求人票で年間休日120日と書いてあった場合でも、

「夜勤明けを含めればもっと休める」

というような単純な比較はできません。

年間休日とは別に、

夜勤回数
夜勤明けの翌日の勤務
連休の取りやすさ

などを見ることで、実際の負担感が分かってきます。


2つの求人を比較してみよう

たとえば、こんな求人があったとします。

求人A

年間休日 120日
有給休暇 法定どおり
夏季休暇 年間休日に含む
希望休 月2日

求人B

年間休日 115日
有給休暇 入職時5日+6か月後5日
夏季特別休暇 3日
希望休 月3日

年間休日だけを見れば求人Aが5日多くなります。

しかし求人Bには、別枠の夏季特別休暇や、入職直後から使える有給制度があります。

だからといって求人Bが必ず良いという意味ではありません。

重要なのは、

「年間休日の数字だけでなく、休暇制度全体を見る」

ことです。


「実際に年間何日休めそうか」を考えてみる

求人を比較するときは、

年間休日

だけを見るのではなく、

年間休日
+実際に取得できそうな有給休暇
+年間休日とは別枠の特別休暇

という視点を持つと、実際の働き方をイメージしやすくなります。

ただし、これらを全部足した数字を「年間休日」と呼ぶのではなく、あくまで年間で仕事をしない日の目安として考えましょう。


求人票の「休み」で確認したい7項目

求人票を見たら、次の7つを確認してみてください。

① 年間休日は何日か

105日、110日、120日など、まず年間休日数を確認します。

② 完全週休2日制か

「週休2日制」との違いにも注意します。

③ 有給休暇はいつ付与されるか

入職時なのか、6か月後なのかを確認します。

④ 有給休暇の取得実績はどうか

付与日数だけでなく、実際の取得状況も重要です。

⑤ 夏季休暇は年間休日に含まれるか

別枠なら、実質的に休める日が増える可能性があります。

⑥ 年末年始・特別休暇はどうなっているか

看護師なら交代取得かどうかも確認します。

⑦ 希望休・連休は取りやすいか

シフト勤務では、休日数と同じくらい重要なポイントです。


「年間休日120日」の数字だけでは休みの多さは決まらない

求人票で、

年間休日120日

と書いてあれば、魅力的に感じるかもしれません。

もちろん、年間休日数は重要な比較材料です。

しかし、それだけでは実際の休みやすさまでは分かりません。

有給はいつから使えるのか。

実際にどのくらい取得されているのか。

夏季休暇は別枠なのか。

希望休は取れるのか。

連休は取れるのか。

こうした条件を合わせて見ることで、初めてその職場の「休み」が見えてきます。


年間休日と有給休暇は分けて見る

最後に、最も重要なポイントを整理します。

年間休日
→ 勤務先があらかじめ定める休日

年次有給休暇
→ 一定の要件を満たした労働者に付与され、労働日に取得することのできる休暇

この2つは別物です。

そのため、

年間休日120日+取得した有給休暇

という考え方が基本になります。

求人票を見るときには、

「年間休日は何日?」

だけで終わらず、

「それ以外に、どんな休暇を実際に使える?」

まで確認してみてください。

給与だけでなく、自分の時間が年間どのくらい確保できるのか。

これも転職先を選ぶ大切な条件です。


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