第4回|固定残業代(みなし残業)とは?求人票で必ず確認したいポイント

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求人票を見ていて、

月給30万円

という求人を見つけたとします。

「今の職場より給料が高い!」

と思って詳しく見てみると、小さな文字で、

基本給25万円
固定残業代5万円(30時間分)を含む

と書かれていました。

この「固定残業代5万円」とは何なのでしょうか。

「30時間はタダで残業しなければいけない?」

「残業が10時間しかなかったら、5万円はもらえない?」

「30時間を超えて残業しても、追加の残業代は出ない?」

固定残業代について、このような疑問を持つ人もいるでしょう。

求人票の給与を正しく比較するためには、固定残業代の仕組みを知っておくことが重要です。

今回は、求人票で固定残業代を見つけたときに、どこを確認すればよいのかを解説します。


固定残業代とは?

固定残業代とは、実際の時間外労働時間にかかわらず、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、あらかじめ定額で支払う仕組みです。

「みなし残業代」などと呼ばれることもあります。

たとえば、

基本給250,000円
固定残業代50,000円(30時間分)
月給300,000円

という求人なら、月給30万円のうち5万円が、あらかじめ設定された30時間分の固定残業代ということになります。

ここで最も大切なのは、

月給30万円すべてが基本給ではない

という点です。

第3回で解説した「基本給と月給の違い」が、ここでも重要になります。


「固定残業代がある=30時間残業しなければならない」ではない

よくある誤解の一つが、

固定残業代30時間分=毎月30時間残業する契約

という考え方です。

固定残業代として30時間分が設定されていることと、30時間の残業を必ずしなければならないことは別です。

たとえば、固定残業代30時間分が適切に定められている職場で、その月の対象となる残業が10時間だったとしても、「20時間残業しなかったから」という理由だけで固定残業代を時間比例で減らす、という性質のものではありません。

ただし、実際の賃金制度や支給条件については、労働契約や就業規則などを確認することが重要です。


設定時間を超えて残業したらどうなる?

ここは非常に重要です。

たとえば、

固定残業代50,000円(30時間分)

という制度で、固定残業代が30時間分の時間外割増賃金に相当するとします。

実際の対象となる残業が40時間になった場合、

「固定残業代をもらっているから、40時間でも追加はゼロ」

ということにはなりません。

固定残業代として支払われている金額でカバーできる割増賃金額を、実際に必要となる割増賃金額が上回れば、不足分を追加で支払う必要があります。

つまり求人票を見るときは、

「固定残業代○万円・○時間分」

だけでなく、

「超過分は別途支給」

などの記載も確認したいところです。


固定残業代は求人票で明確に表示する必要がある

企業が固定残業代を採用して求人を出す場合、単に、

月給300,000円

とだけ表示して終わり、というものではありません。

厚生労働省は、固定残業代を採用している求人について、募集・求人の段階で、

固定残業代を除いた基本給の額
固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
固定残業時間を超える時間外労働等について追加で割増賃金を支払うこと

などを明示するよう示しています。

そのため求人票で固定残業代を見つけたら、

「固定残業代あり」

という言葉だけではなく、金額と時間数、超過分の扱いまで確認しましょう。


「月給30万円」の内訳を比較してみよう

2つの求人を比較します。

求人A

基本給 280,000円
資格手当 20,000円
固定残業代 なし

月給300,000円

求人B

基本給 230,000円
資格手当 20,000円
固定残業代 50,000円(30時間分)

月給300,000円

どちらも月給30万円です。

しかし、中身は大きく違います。

求人A求人B
基本給280,000円230,000円
資格手当20,000円20,000円
固定残業代なし50,000円
月給300,000円300,000円

求人Bでは、30万円のうち5万円が固定残業代です。

だからといって、これだけで求人Bが悪い求人だとは判断できません。

しかし、

「同じ30万円だから給与条件も同じ」

とは言えないことが分かります。


固定残業代がある求人は避けるべき?

ここも冷静に考えたいところです。

固定残業代制度があるという理由だけで、その求人が悪いとは言えません。

制度そのものではなく、

何時間分なのか
金額はいくらなのか
実際の残業時間はどのくらいなのか
超過分が適切に支給されるのか

を見ることが重要です。

たとえば、

固定残業代10時間分
実際の残業は月平均5時間程度

という職場と、

固定残業代40時間分
実際にも毎月40時間近い残業がある

という職場では、働き方の印象はかなり違います。

求人票に固定残業代があったら、

「危険だから応募しない」ではなく、「もう一段詳しく確認する」

という考え方がおすすめです。


「固定残業30時間」と「残業月平均30時間」は別の数字

これも求人票で混同しやすいポイントです。

固定残業代:30時間分

時間外労働:月平均30時間

は同じ意味ではありません。

固定残業代の「30時間」は、固定残業代が何時間分として設定されているかを示す数字です。

一方、

「時間外労働 月平均○時間」

は、実際の時間外労働の状況を確認するための情報です。

たとえば、

固定残業代 30時間分
時間外労働 月平均8時間

という求人もあり得ます。

逆に、

固定残業代 20時間分
時間外労働 月平均25時間

という求人なら、固定残業時間を超える部分の扱いを特に確認したくなります。

「固定残業時間」と「実際の残業時間」は別々に確認する。

これがポイントです。


看護師求人では固定残業代だけでなく「夜勤」も分けて見る

看護師の場合、給与の内訳がさらに複雑になることがあります。

たとえば、

月給330,000円

と表示されていても、

基本給 230,000円
資格手当 20,000円
固定残業代 20,000円
夜勤手当 15,000円×4回=60,000円

という内訳なら、夜勤4回を含めて33万円です。

この場合、

基本給はいくら?
固定残業代はいくら?
何時間分?
夜勤をしなければいくら?

と分解して考える必要があります。

看護師求人では、給与の総額が高く見えても、夜勤手当や固定残業代を含めた金額なのかを必ず確認したいところです。


固定残業代と「残業代が出ない」は別

「固定残業代あり」と見ると、

「残業代が出ない会社なのでは?」

と感じるかもしれません。

しかし、

固定残業代制度=何時間残業しても追加の残業代が出ない制度

ではありません。

固定残業代でカバーされる範囲を超えて、法令上さらに支払うべき割増賃金が生じた場合には、その差額の支払いが必要です。

もし求人説明で、

「固定残業代があるので、何時間残業しても追加の残業代はありません」

などと言われた場合には、条件をよく確認する必要があります。


固定残業代の金額だけでなく「何時間分か」を見る

たとえば、

固定残業代50,000円

とだけ見ても、その金額が高いのか低いのかは判断できません。

重要なのは、

何時間分として設定されているのか

です。

求人A
固定残業代50,000円・20時間分

求人B
固定残業代50,000円・40時間分

では、意味が違います。

さらに基本給などが違えば、時間外労働の割増賃金の計算の基礎となる賃金も異なり得ます。

そのため、

「固定残業代○万円」だけで比較しない

ことが重要です。


求人票で固定残業代を見つけたら確認したい6項目

固定残業代がある求人を見つけたら、次の6点をチェックしましょう。

固定残業代を除いた基本給はいくらか

まず給与の土台を確認します。

固定残業代はいくらか

月給のうち、いくらが固定残業代なのかを確認します。

何時間分なのか

「○時間分」という対象時間を確認します。

超過分は別途支給されるか

設定された範囲を超えた場合の扱いを確認します。

実際の残業時間は月平均何時間か

固定残業時間とは別に、実態を見るための重要な数字です。

看護師なら夜勤手当を除いた給与も確認する

固定残業代と夜勤手当をすべて含めた「月収例」だけで比較しないようにします。


面接・応募前に聞いてもいい?

求人票だけでは分からなければ、採用担当者に確認して構いません。

たとえば、

「固定残業代は何時間分でしょうか。また、実際の月平均の時間外労働はどのくらいでしょうか」

と聞けば、固定残業時間と実際の残業時間を同時に確認できます。

さらに、

「固定残業時間を超えた場合の時間外手当は、どのように支給されますか」

と確認してもよいでしょう。

給与について質問することに遠慮する人もいますが、入職後の労働条件に関わる重要な確認事項です。


「固定残業代あり」の文字だけで判断しない

固定残業代のある求人を見て、

「この求人はやめておこう」

と即座に判断する必要はありません。

反対に、

「月給が高いから条件がいい」

と判断するのも早すぎます。

大切なのは、

基本給はいくらか
固定残業代はいくらか
何時間分なのか
実際の残業は何時間なのか
超過分はどうなるのか

まで確認することです。

求人票の給与欄では、大きく表示された「月給」だけでなく、その下にある内訳の数字に目を向けてみてください。

月給30万円という同じ数字でも、中身を分解すると求人の見え方は大きく変わります。


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