求人票を見ていて、
月給30万円
年間休日120日
賞与4か月
昇給あり
と並んでいたら、
「かなり条件がいいかも」
と思うかもしれません。
もちろん、本当に魅力的な求人かもしれません。
でも、求人票は大きな数字だけを見ていると、見落としてしまうことがあります。
たとえば、
月給30万円
→固定残業代5万円込み
年間休日120日
→希望休がほとんど通らない
賞与4か月
→月給ではなく基本給ベース
夜勤手当18,000円
→夜勤時間が長く、月6回
ということもあり得ます。
だから大切なのは、
「この求人は危険」と決めつけることではなく、「ここはもう少し確認した方がよさそう」と気づくこと。
今回は、求人票を読むときに見落としたくない**10の「気になるサイン」**を整理します。
① 月給が高いのに、基本給が低い
まず確認したいのが、月給の内訳です。
たとえば、
月給300,000円
と書いてあっても、
基本給 200,000円
資格手当 20,000円
職務手当 30,000円
固定残業代 50,000円
という構成かもしれません。
月給は30万円でも、基本給は20万円です。
これは必ずしも悪い求人ではありません。
ただし、基本給は勤務先によって、
賞与
昇給
退職金
などに関係する場合があります。
そのため、
「月給が高い」だけでなく、「基本給はいくら?」
を見ることが大切です。
ここを確認
- 基本給
- 固定手当
- 条件付き手当
- 固定残業代
- 夜勤手当
詳しくは第3回・第6回で解説しています。
② 固定残業代の金額が大きい
求人票に、
固定残業代50,000円・30時間分
などと書かれている場合は、少し立ち止まって確認しましょう。
見るべきなのは、
固定残業代があるかどうか
だけではありません。
何時間分なのか
実際の残業時間はどのくらいなのか
超過分は別途支給されるのか
です。
たとえば、
固定残業30時間分
実際の残業月平均5時間
なら、
「なぜ30時間分に設定しているのだろう?」
と確認したくなります。
逆に、
固定残業30時間分
実際の残業月平均30時間前後
なら、
実際にもかなり残業がある可能性があります。
ここを確認
- 固定残業代の金額
- 対象時間
- 実際の残業時間
- 超過分の支給
詳しくは第4回・第11回で解説しています。
③ 「週休2日制」だけで年間休日が少ない
求人票に、
週休2日制
と書いてあると、
毎週2日休めると思いがちです。
でも、第1回で解説したように、
週休2日制=完全週休2日制
ではありません。
さらに重要なのが、年間休日です。
たとえば、
週休2日制
年間休日105日
と、
完全週休2日制
年間休日120日
では、休日の総数に大きな差があります。
ここを確認
- 完全週休2日制か
- 4週8休か
- 月9日休みか
- 年間休日は何日か
- 祝日相当分はあるか
詳しくは第1・2・10回で解説しています。
④ 年間休日は多いのに、有給・希望休の実態が分からない
年間休日120日。
数字としては魅力的です。
でも、看護師の場合は、
希望休がほとんど通らない
連休が取りにくい
有給取得率が低い
という可能性もあります。
年間休日は重要ですが、実際の休みやすさは、
有給
希望休
連休
勤務シフト
にも左右されます。
ここを確認
- 有給はいつから使えるか
- 年間平均取得日数
- 希望休は月何日か
- 2連休・3連休は取れるか
詳しくは第5回・第10回で解説しています。
⑤ 賞与「4か月」なのに基本給が低い
求人票に、
賞与4.0か月分
と書いてあれば、魅力的に見えます。
でも、
何を4か月分なのか
が重要です。
たとえば、
月給300,000円
基本給200,000円
で、賞与が基本給4か月なら、
200,000円×4=800,000円
です。
月給30万円×4か月の120万円ではありません。
ここを確認
- 賞与の算定基礎
- 前年度実績か
- 初年度の扱い
- 評価・業績による変動
詳しくは第7回で解説しています。
⑥ 「昇給あり」なのに具体的な数字がない
昇給あり
だけでは、
どのくらい上がるのか分かりません。
月1,000円なのか。
5,000円なのか。
1%なのか。
さらに、
全員昇給
なのか、
評価による
のかも重要です。
長く働くつもりなら、
5年後の給与
まで考えましょう。
ここを確認
- 昇給額
- 昇給率
- 前年度実績
- 人事評価との関係
- 基本給が上がるのか
詳しくは第8回で解説しています。
⑦ 「退職金制度あり」なのに対象条件が分からない
退職金制度あり。
この言葉も安心感があります。
でも、
勤続何年以上?
どう計算する?
自己都合退職でも同じ?
などは分かりません。
たとえば、
勤続3年以上が対象
なら、
2年11か月で退職すると支給対象外になる可能性があります。
ここを確認
- 最低勤続年数
- 対象雇用形態
- 算定方法
- 自己都合退職時の扱い
- 退職金共済の有無
詳しくは第9回で解説しています。
⑧ 夜勤手当が高いのに、夜勤条件が見えない
看護師求人で特に注意したいのがここです。
夜勤手当18,000円
と書いてあると魅力的ですが、
二交替か三交替か
何時間勤務か
月何回か
夜勤明けの翌日はどうなるか
まで見なければ条件は分かりません。
さらに、
月給32万円
の中に夜勤4回分が含まれている場合もあります。
ここを確認
- 夜勤手当1回あたり
- 夜勤回数
- 勤務時間
- 夜勤体制
- 夜勤明け後の勤務
- 夜勤なしの給与
詳しくは第12回で解説しています。
⑨ 試用期間中だけ給与・手当が下がる
求人票に、
試用期間3か月
とある場合は、その下を見ましょう。
条件変更なし
なら分かりやすいです。
一方で、
試用期間中
基本給▲20,000円
資格手当なし
夜勤なし
という制度も考えられます。
さらに、
試用期間中は契約社員
など、雇用形態が違うケースもあります。
ここを確認
- 試用期間
- 基本給
- 手当
- 夜勤開始時期
- 社会保険
- 雇用形態
詳しくは第13回で解説しています。
⑩ 「経験加算あり」なのに、自分の給与が分からない
中途採用の看護師求人では、
経験加算あり
経験を考慮
と書かれていることがあります。
でも、
看護師経験10年だから、
「上限給与に近いはず」
とは限りません。
勤務先によって、
前歴換算
雇用形態
経験分野
常勤・非常勤
などの評価方法が異なることがあります。
ここを確認
- どの経験を評価するか
- 何%換算されるか
- 基本給に反映されるか
- 自分の場合の具体的な基本給
詳しくは第14回で解説しています。
「気になるサイン」が1つあったら悪い求人?
いいえ。
ここが非常に重要です。
たとえば、
固定残業代あり
だから悪い求人。
年間休日105日
だから悪い求人。
退職金なし
だから悪い求人。
とは言い切れません。
人によって重視する条件は違います。
年間休日が少なくても、
給与が高い
残業が少ない
通勤時間が短い
というメリットがあるかもしれません。
退職金がなくても、
月給や年俸が高い
という求人もあります。
この記事で紹介しているのは、
「危険判定」ではなく「確認ポイント」
です。
求人票は「1項目」ではなく「組み合わせ」で見る
たとえば、
求人A
月給 32万円
年間休日 105日
残業 月20時間
賞与 2か月
求人B
月給 29万円
年間休日 120日
残業 月5時間
賞与 4か月
だったらどうでしょうか。
月給だけなら求人Aです。
でも、
休日。
残業。
賞与。
まで見ると、評価は変わるかもしれません。
大切なのは、
「一番目立つ数字だけで決めない」
ことです。
「給与・休日・時間」の3つをセットで見る
求人票を簡単に比較するときは、まずこの3つを見てください。
給与
- 基本給
- 月給
- 賞与
- 昇給
- 夜勤手当
休日
- 完全週休2日制か
- 年間休日
- 有給
- 希望休
時間
- 勤務時間
- 残業
- 夜勤
- 通勤時間
この3つだけでも、求人の見え方はかなり変わります。
給与は「年収」で比較する
求人票では、
月給
が最も目立ちます。
でも、
基本給。
賞与。
夜勤。
残業。
まで含めると、年収は変わります。
たとえば、
月給30万円
賞与60万円
なら、
年収420万円
です。
月給28万円
賞与100万円
なら、
年収436万円
です。
月給だけでなく、年間収入で比較しましょう。
休日は「年間何日」で比較する
同じように、
「週休2日」
ではなく、
年間休日何日
で比べてみます。
年間休日105日と120日なら、
15日の差
です。
さらに有給取得日数を加えると、実際に仕事をしない日の差は広がる可能性があります。
時間は「年間」で考える
残業も同じです。
月平均5時間と20時間なら、
月15時間差。
年間では、
180時間差
です。
毎月の数字では小さく感じても、1年間にすると大きな違いです。
求人票は、
月 → 年
に換算すると比較しやすくなります。
求人票だけで分からないこともある
どれだけ丁寧に求人票を読んでも、分からないことがあります。
たとえば、
人間関係
職場の雰囲気
実際の有給の取りやすさ
シフト希望の通りやすさ
夜勤中の忙しさ
などです。
ここは、
職場見学
面接
採用担当者への質問
で確認します。
求人票は、
答えそのもの
ではなく、
「何を質問すればよいか」を見つける資料
として使うと非常に有効です。
面接で確認したい質問例
求人票を見て気になる点があれば、具体的に質問しましょう。
たとえば、
「求人票では残業月平均10時間とありますが、時期による差はありますか?」
「年間休日120日の内訳を教えていただけますか?」
「賞与4か月分の算定基礎は基本給でしょうか?」
「夜勤は月何回程度になることが多いでしょうか?」
「私の経験年数の場合、基本給はいくらになる見込みでしょうか?」
などです。
求人票を読んでから面接に行くと、質問の質も上がります。
職場見学では「数字の裏側」を見る
職場見学では、
求人票だけでは分からない部分を確認しましょう。
たとえば、
定時を過ぎてもスタッフが多く残っている
病棟が極端に慌ただしい
スタッフ間の会話がほとんどない
など。
もちろん、短時間の見学だけで職場全体を判断することはできません。
それでも、
求人票の数字と現場の様子が合っているか
を見ることは参考になります。
10項目を一覧で確認しよう
最後に、今回の「気になるサイン」をまとめます。
| チェック気になるサイン確認すること | ||
| 1 | 月給が高い | 基本給・手当の内訳 |
| 2 | 固定残業代が大きい | 金額・時間・実残業 |
| 3 | 週休2日制 | 年間休日・完全週休2日 |
| 4 | 年間休日が多い | 有給・希望休・連休 |
| 5 | 賞与○か月 | 算定基礎・前年度実績 |
| 6 | 昇給あり | 金額・昇給率・評価 |
| 7 | 退職金あり | 勤続年数・算定方法 |
| 8 | 夜勤手当が高い | 回数・時間・体制 |
| 9 | 試用期間あり | 給与・手当・雇用形態 |
| 10 | 経験加算あり | 自分の具体的基本給 |
この表をスクリーンショットして、求人を見るときに使ってもよいでしょう。
求人票は「読む」だけでなく「比べる」
求人票を1枚だけ見ていると、
月給30万円。
年間休日110日。
残業10時間。
という数字が良いのか悪いのか分かりにくいことがあります。
でも、3つの求人を横に並べると、
違いが見えてきます。
だから求人票は、
読む
だけではなく、
比べる
ことが大切です。
「一番高い給与」ではなく「自分に合う求人」を探す
求人選びに、全員共通の正解はありません。
給与を最優先する人。
休日を重視する人。
夜勤を減らしたい人。
通勤時間を短くしたい人。
それぞれ違います。
だからこそ、
自分が何を優先するか
を決めたうえで求人票を比較しましょう。
求人票を正しく読めるようになると、
「条件が良さそうな求人」
から、
「自分に合いそうな求人」
を探せるようになります。
求人票の大きな数字より、小さな文字を見る
求人広告では、
月給35万円!
年間休日120日!
賞与4か月!
と、大きな数字が目に入ります。
でも、本当に重要な情報は、その下の小さな文字に書かれていることがあります。
基本給はいくら?
固定残業代込み?
年間休日の内訳は?
夜勤4回込み?
試用期間中は同条件?
求人票を見るときは、
大きな数字を見たら、その下の内訳を見る。
これを習慣にしてみてください。
求人票は転職後の生活を想像するための資料
最後に、この「求人の読み方」シリーズで一番伝えたいことです。
求人票は、
採用されるために読むもの
だけではありません。
その職場で働いた自分の生活を想像するために読むもの
でもあります。
何時に家を出る?
月何回夜勤する?
年間何日休める?
毎月いくらもらえる?
5年後の給与は?
長く働いたら退職金は?
こうして求人票を一つずつ読み解いていくと、
単なる募集要項だった紙から、
「自分の未来の働き方」
が見えてきます。
転職してから、
「こんなはずじゃなかった」
とならないために。
応募ボタンを押す前に、もう一度求人票をゆっくり読んでみてください。
このシリーズで詳しく確認する
今回の10項目は、以下の記事で詳しく解説しています。
休日を確認する
- 第1回|週休2日制と完全週休2日制
- 第2回|年間休日105日・110日・120日
- 第5回|年間休日と有給休暇
- 第10回|4週8休・月9日休み・シフト制
給与・待遇を確認する
- 第3回|基本給と月給
- 第4回|固定残業代
- 第6回|月給の内訳
- 第7回|賞与
- 第8回|昇給
- 第9回|退職金
- 第14回|経験加算
働く時間を確認する
- 第11回|残業月平均○時間
- 第12回|夜勤手当・夜勤条件
入職時の条件を確認する
- 第13回|試用期間

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