第11回|退職したら年金の手続きは必要?|国民年金への切り替えと再就職時の手続きを解説

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病院や施設を退職して、次の職場にすぐ入らないことになった。

そんなとき、健康保険と一緒に忘れず確認したいのが年金の手続きです。

「退職したら厚生年金はどうなるの?」

「国民年金に自分で切り替える必要がある?」

「配偶者の扶養に入る場合はどうする?」

「再就職したら、また自分で手続きするの?」

退職後の年金は、健康保険ほど目に見えにくいため、つい後回しにしがちです。

しかし、退職後すぐに再就職しない20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金第1号被保険者への切り替え手続きが必要になります。日本年金機構は、退職日の翌日から14日以内の手続きを案内しています。

今回は、看護師が退職してから再就職するまでの年金手続きを、できるだけ分かりやすく整理します。


退職すると厚生年金はどうなる?

病院や施設などで常勤として働いている間は、通常は勤務先を通して厚生年金に加入しています。

しかし、勤務先を退職すると、その厚生年金の資格も退職日の翌日に喪失します。

たとえば、

3月31日退職 → 4月1日から厚生年金の資格を喪失

という流れです。

そして、次の勤務先へすぐ入職しない20歳以上60歳未満の人は、原則として自分で国民年金へ切り替える必要があります。

ここで大切なのは、

「退職したら自動的に国民年金へ切り替わるわけではない」

ということです。

健康保険と同じように、自分で手続きを確認する必要があります。


① 退職後すぐ再就職しないなら、国民年金第1号へ切り替える

退職して、次の勤務先がまだ決まっていない。

あるいは、少し休んでから転職活動を始める。

こうした場合、20歳以上60歳未満であれば、原則として国民年金第1号被保険者になります。

手続き期限は退職日の翌日から14日以内

日本年金機構では、退職日の翌日から14日以内の手続きを案内しています。

手続きは、

・市区町村役場の国民年金窓口
・年金事務所
・郵送
・マイナポータルを利用した電子申請

などで行うことができます。

退職後は健康保険や失業給付など、いろいろな手続きが重なります。

そのため、

「健康保険を決めたら、年金もセットで確認する」

と覚えておくと忘れにくいです。


国民年金への切り替えに必要なもの

実際に必要な書類は手続き方法や自治体によって異なる場合がありますが、日本年金機構では、窓口手続きの際に次のようなものを案内しています。

・基礎年金番号が分かるもの
・マイナンバーが分かるもの
・本人確認書類
・退職日を確認できる書類

などです。

退職日を確認できる書類として、離職票や退職証明書などを求められることがあります。

必要書類は自治体や年金事務所へ事前に確認しておくと安心です。


② 2026年度の国民年金保険料はいくら?

国民年金へ切り替えると、今度は自分で保険料を支払うことになります。

2026年度、つまり令和8年度の国民年金保険料は、

月額17,920円

です。

毎月納付すると、1年間では、

17,920円 × 12か月 = 215,040円

となります。

退職して収入が減った直後に、健康保険料や住民税と一緒に支払いが発生するため、想像以上に負担を感じる人もいるかもしれません。

だからこそ、退職前から、

健康保険料
国民年金保険料
住民税

をまとめて確認しておくことが大切です。


前納すると国民年金保険料が少し安くなる

国民年金保険料には、一定期間分をまとめて支払う前納制度があります。

2026年度は、たとえば1年前納の場合、

納付書・クレジットカード払い:211,220円
口座振替:210,530円

となり、毎月納付より割引があります。

ただし、退職後すぐ再就職する予定がある人の場合、長期間の前納が自分に合うとは限りません。

まずは再就職までの見通しを考えながら選びましょう。


③ 配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者になることも

退職後、配偶者が会社員や公務員で、その健康保険の扶養に入れる場合には、年金も国民年金第3号被保険者になる可能性があります。

第3号被保険者になる主な条件として、日本年金機構は、

・20歳以上60歳未満
・厚生年金に加入する配偶者に扶養されている
・原則として年収130万円未満

などを挙げています。

第3号被保険者になった場合、自分で国民年金保険料を支払う必要はありません。

手続きは配偶者の勤務先を通して行う

第3号被保険者になる場合は、自分で市区町村役場へ行くのではなく、原則として配偶者の勤務先を通して手続きします。

退職後に配偶者の扶養へ入る予定なら、

健康保険の扶養手続きと年金の第3号手続きを一緒に確認する

と分かりやすいです。


④ 配偶者の扶養に入るまで期間が空く場合は注意

ここは意外と見落としやすいポイントです。

たとえば、

3月31日に退職
5月1日から配偶者の扶養に入る

という場合。

4月1日から4月30日までの1か月間は、何の年金にも入らなくていいわけではありません。

20歳以上60歳未満なら、その空白期間について国民年金第1号被保険者への切り替えが必要になる場合があります。

日本年金機構も、退職から配偶者の扶養に入るまで期間が空く場合は、その期間について第1号被保険者への切り替えが必要と案内しています。

「どうせ来月から扶養に入るから何もしなくていい」

とは考えないようにしましょう。


⑤ 国民年金保険料を払うのが厳しいときは免除・納付猶予も確認

退職後、しばらく収入がなくなる場合、

「毎月17,920円は正直きつい」

と感じる人もいるでしょう。

そんなときは、保険料をそのまま未納にするのではなく、免除制度や納付猶予制度を確認してください。

日本年金機構では、失業などによって保険料の納付が難しい人向けに、国民年金保険料の免除・納付猶予制度を案内しています。

失業した人には特例がある

通常、免除や納付猶予の審査では所得が確認されます。

しかし、失業した場合には、失業した本人の前年所得を一定の条件で除外して審査する特例があります。

そのため、

前年は看護師としてそれなりの収入があった

という人でも、退職後に失業している場合は、免除や納付猶予の対象になる可能性があります。

「前年所得が高いから絶対無理」

と最初から諦めず、年金事務所や市区町村窓口へ確認してみましょう。


「払えないから放置」は避けよう

国民年金保険料を払わず、そのまま未納にしてしまうのはおすすめできません。

未納期間があると、将来の老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件にも影響する場合があります。

日本年金機構も、年金の種別変更が遅れることで未納期間が生じると、将来の年金や万一の際の障害・遺族基礎年金に影響する可能性があると案内しています。

払うのが難しいときこそ、

未納にするのではなく、免除・納付猶予を申請する

ことが大切です。


⑥ 再就職したら国民年金から厚生年金へ戻る

転職活動をして、新しい病院や施設、企業などへの就職が決まった。

そして、新しい勤務先で厚生年金の加入条件を満たした場合は、再び厚生年金へ加入します。

この場合、原則として厚生年金の資格取得手続きは新しい勤務先が行います。

つまり、

退職後:国民年金第1号
↓
再就職:厚生年金へ加入

という流れです。

多くの場合、本人が年金事務所へ出向いて「国民年金をやめます」と手続きする必要はありません。

ただし、加入記録に不明点がある場合や、納付書が届き続ける場合などは、年金事務所へ確認しましょう。


⑦ 再就職まで短期間でも国民年金の手続きは必要?

「退職して1か月後にはもう再就職する予定だから、国民年金の手続きをしなくてもいいのでは?」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、厚生年金に加入していない空白期間がある20歳以上60歳未満の人は、原則としてその期間について国民年金への切り替えが必要です。

たとえば、

3月31日退職
5月1日再就職

なら、

4月は国民年金第1号被保険者になることが基本です。

「短期間だからいいだろう」

と放置せず、必ず確認してください。


⑧ 看護師が退職前に確認しておきたい年金チェックリスト

退職後に慌てないため、退職前から次のことを確認しておきましょう。

退職前

☐ 基礎年金番号を確認する
☐ マイナンバーカードなど本人確認書類を準備する
☐ 退職日を確認できる書類を受け取れるか確認する
☐ 退職後すぐ再就職するか、期間が空くか確認する
☐ 配偶者の扶養に入れるか確認する

退職後

☐ 20歳以上60歳未満で再就職しない場合、国民年金第1号への切り替えを確認する
☐ 原則14日以内を目安に手続きをする
☐ 国民年金保険料の納付方法を確認する
☐ 支払いが厳しい場合は免除・納付猶予を相談する

配偶者の扶養に入る場合

☐ 配偶者の勤務先へ相談する
☐ 健康保険の扶養手続きと第3号被保険者手続きを確認する
☐ 扶養に入るまで空白期間がないか確認する

再就職後

☐ 新しい勤務先で厚生年金へ加入したか確認する
☐ 年金記録に空白がないか確認する


「ねんきんネット」で加入記録を確認してみよう

退職や転職を機に、自分の年金記録を一度確認してみるのもおすすめです。

長く看護師として働いていると、

「今まで厚生年金に何年入っていたのか」

「転職の間に空白期間はないか」

を普段あまり意識しないかもしれません。

しかし、退職・転職を繰り返すと、加入する年金制度も切り替わります。

そのため、加入記録に漏れがないか定期的に確認しておくと安心です。

日本年金機構の「ねんきんネット」では、自分の年金記録や将来の年金見込額などを確認できます。


健康保険と年金は「同じもの」ではない

退職時に特に混乱しやすいのが、

健康保険と年金の手続きを一緒だと思ってしまうこと

です。

たとえば、

国民健康保険に入ったから、国民年金も自動で加入済み

とは限りません。

また、

配偶者の健康保険の扶養に入ったから、年金も何もしなくていい

とも限りません。

健康保険と年金は別制度です。

退職時には、

健康保険はどうする?

そして、

年金はどうする?

と、必ず別々に確認してください。


まとめ|退職後の年金は「空白期間を作らない」がポイント

看護師が退職して、次の職場へすぐ入らない場合。

20歳以上60歳未満であれば、原則として国民年金第1号被保険者への切り替えが必要になります。

ポイントをまとめると、

退職後すぐ再就職しない
→ 国民年金第1号への切り替えを確認

配偶者の扶養に入る
→ 第3号被保険者になる可能性がある

保険料を払うのが厳しい
→ 免除・納付猶予制度を確認

再就職して厚生年金へ加入
→ 新しい勤務先が資格取得手続きを行う

という流れです。

2026年度の国民年金保険料は月額17,920円です。

退職直後は収入が減る一方で、健康保険料、年金、住民税などの支払いが続きます。

だからこそ、退職日が決まったら、

「再就職まで何か月空くのか」

を考え、その期間に必要となる社会保険料をあらかじめ計算しておくことが大切です。

退職後の少しの休息を安心して過ごすためにも、年金の手続きは後回しにせず、早めに確認しておきましょう。


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