第8回|看護師の円満退職の進め方|退職を伝える時期・引き止め・有給消化まで解説

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転職先が決まり、内定条件にも納得した。

あとは今の職場を辞めるだけ。

そう思っても、ここでまた悩む人は少なくありません。

「いつ退職を伝えればいい?」

「まず誰に言う?」

「強く引き止められたらどうする?」

「有給は全部使っていい?」

「退職日と次の入職日の間は空けた方がいい?」

病院や施設ではシフト勤務や人員配置があるため、一般企業とは違う難しさもあります。

だからこそ、退職は感情的に進めるのではなく、順番を決めて進めるのがおすすめです。

今回は、看護師が円満に退職するための流れを整理します。


まず退職希望日を決める

最初に決めたいのは、

いつ退職したいのか

です。

たとえば、

3月31日

6月30日

9月30日

など、具体的な日付を決めます。

そのうえで、

いつ上司へ伝えるか

を逆算します。

病院や施設には就業規則があるため、まずは退職に関する規定を確認しましょう。


就業規則を確認する

就業規則には、

退職を希望する場合は○日前までに申し出ること

などと書かれている場合があります。

たとえば、

1か月前。

2か月前。

3か月前。

などです。

シフト作成や後任調整の関係で、病院によっては早めの申し出を求めていることがあります。

まずは勤務先のルールを確認しましょう。


「法律上いつ辞められるか」と「円満退職」は分けて考える

期間の定めのない雇用契約では、民法上のルールがあります。

ただし実際の退職では、

法律上辞められる最短時期

と、

職場と調整しながら円満に退職する時期

は分けて考えた方がよいです。

病院ではシフトや人員配置もあるため、可能なら就業規則に沿って早めに相談する方がスムーズです。


誰に最初に伝える?

看護師の場合、一般的には、

直属の上司

へ最初に伝えるのが基本です。

病棟なら、

師長。

主任。

所属長。

などです。

同僚に先に話してしまうと、

本人から上司へ伝える前に話が広がる可能性があります。

そのため、

まず上司へ直接伝える

のがおすすめです。


退職意思はメールだけで済ませない

可能であれば、

直接話す時間を取ってもらう

方がよいでしょう。

たとえば、

「ご相談したいことがあります。少しお時間をいただけますか」

と伝えます。

忙しいナースステーションの真ん中で突然、

「辞めます」

と話すより、落ち着いて話せる場所をお願いしましょう。


退職理由はどこまで本音を言う?

退職理由は、

すべて本音を詳しく話す必要はありません。

たとえば本当の理由が、

人間関係。

給与。

夜勤。

管理職への不満。

だったとしても、

相手を責める形で説明すると話がこじれる可能性があります。


伝え方の例

「今後の働き方について考えた結果、環境を変えて新しい経験を積みたいと考え、退職を決めました。」

または、

「今後の生活との両立を考え、勤務形態を見直したいと考えるようになりました。」

などです。

大切なのは、

相談ではなく、退職意思を明確に伝えること

です。


「辞めようと思っています」より「退職を決めました」

引き止められやすい言い方が、

「辞めようか迷っています」

です。

これだと相手には、

「条件を変えれば残ってくれるかもしれない」

と伝わります。

すでに退職を決めているなら、

「○月末で退職したいと考えています」

と、明確に伝えましょう。


強く引き止められたらどうする?

看護師不足の職場では、

「もう少し残ってほしい」

「次の人が決まるまで」

「夜勤を減らすから」

などと引き止められることがあります。

ここで重要なのは、

自分が本当に退職したいのか

です。

条件が改善されれば残りたいなら、検討する選択もあります。

でも、すでに転職先も決まり退職意思が固いなら、

曖昧な返事をしない

ことが大切です。


引き止めへの返答例

「ご配慮いただきありがとうございます。ただ、今後の働き方について十分考えたうえで決めたことですので、○月末で退職させていただきたいと考えています。」

条件を提示されても、

「ありがたいお話ですが、転職する意思は変わりません。」

と丁寧に伝えます。


「人が足りないから辞められない」は?

人員不足は職場側にとって大きな問題です。

ただし、

人員不足だから永久に退職できない

ということにはなりません。

とはいえ、円満退職を目指すなら、

可能な範囲で、

早めに伝える

引き継ぎに協力する

ことが大切です。


退職届はいつ出す?

勤務先によって、

退職願

退職届

の提出方法が異なることがあります。

書式が決まっている病院もあります。

そのため、まず上司へ退職意思を伝え、

人事・総務の手続きを確認しましょう。

勝手に様式を作って提出するより、勤務先のルールに沿う方がスムーズです。


退職日は「最終出勤日」と同じとは限らない

ここは重要です。

たとえば、

退職日
3月31日

最終出勤日
3月15日

その後、

3月16日〜31日
有給消化

ということもあります。

つまり、

最終出勤日

退職日

は別になることがあります。


有給休暇は使える?

年次有給休暇が残っていれば、退職前に取得を希望することができます。

たとえば、

有給が15日残っている。

退職日は3月31日。

なら、業務引き継ぎを終えたうえで、残りの期間に有給取得を希望することが考えられます。

ただし、シフト調整もあるため、

できるだけ早めに相談

するのがおすすめです。


「有給は全部使えない」と言われたら?

年次有給休暇は法律上の制度です。

ただし、実際の取得時期や残日数、退職日との関係で調整が必要になることがあります。

退職前に使いたい場合は、

何日残っているか

いつ取得したいか

を具体的に確認しましょう。

必要であれば、人事・総務へも確認します。


有給を「買い取ってもらう」ことはできる?

年次有給休暇の買い取りは原則として自由に行える制度ではありません。

一方で、退職時の未消化分などについて、勤務先が一定の扱いをする場合もあります。

これは職場ごとの制度や個別事情によって異なるため、

買い取りを前提にせず、取得できるかをまず確認する

のがよいでしょう。


引き継ぎは何を残す?

看護師の引き継ぎでは、

患者さんの日々の申し送りだけではありません。

たとえば、

委員会業務

係活動

新人指導

物品管理

マニュアル管理

担当業務

などもあります。

自分しか分からない仕事があれば、

退職前に整理しておきましょう。


引き継ぎメモを作る

おすすめは、

担当業務

期限

連絡先

注意点

を簡潔にまとめたメモを残すことです。

たとえば、

医療安全委員会

次回会議:3月10日
提出資料:○○
データ保存場所:共有フォルダ○○

という形です。

後任者が困らないようにしておくと、円満退職につながります。


患者さんへ退職を伝える?

これは職場の方針に従いましょう。

個人的に、

「来月辞めるんです」

と患者さんへ話すと、職場とのトラブルになる可能性があります。

患者さんへの説明が必要な場合は、

上司と相談して対応する

のが安全です。


同僚にはいつ伝える?

これも上司へ相談してからがおすすめです。

退職意思を伝えた直後に自分から全員へ話すと、

まだ正式決定していない段階で噂が広がることがあります。

まず上司や人事と退職日を確定させ、その後の周知方法を確認しましょう。


退職までの勤務態度も大切

退職が決まると、

「もう辞めるから」

という気持ちになることがあります。

でも、最後まで、

遅刻しない

無断欠勤しない

業務を雑にしない

引き継ぎを行う

ことが大切です。

医療の現場では特に、患者さんの安全に関わります。

最後まで通常どおり勤務しましょう。


有給消化前に返却物を確認

退職時には、

職員証

名札

制服

ロッカーの鍵

院内端末

資料

などの返却が必要になることがあります。

クリーニング方法が決まっている場合もあります。

最終出勤日までに確認しておきましょう。


病院から受け取る書類を確認

退職時・退職後には、勤務先から受け取る書類があります。

状況によって、

源泉徴収票

雇用保険被保険者証

離職票

健康保険資格喪失に関する書類

退職証明書

などが必要になることがあります。

次の職場へすぐ入職する場合と、いったん無職になる場合では必要な手続きも変わります。


次の職場へすぐ入る場合

たとえば、

3月31日退職。

4月1日入職。

なら、健康保険や厚生年金は新しい職場で手続きされることが一般的です。

新しい勤務先から求められる書類を確認しましょう。


入職まで期間が空く場合

たとえば、

3月31日退職。

5月1日入職。

なら、4月の社会保険について自分で手続きが必要になる可能性があります。

健康保険は、

国民健康保険

退職前の健康保険の任意継続

家族の扶養

などを検討することがあります。

年金についても状況に応じた手続きが必要です。


退職日と入職日は慎重に決める

転職先が決まったら、

退職日

入職日

をセットで考えます。

収入を途切れさせたくないなら、間を空けない。

少し休みたいなら、期間を空ける。

どちらも選択肢です。

ただし、間を空ける場合は、

社会保険

生活費

も考えておきましょう。


ボーナス前後の退職は確認が必要

「賞与をもらってから辞めたい」

と考える人も多いでしょう。

賞与の支給条件には、

支給日に在籍していること

などの要件が定められている場合があります。

退職時期を賞与に合わせたい場合は、

賞与規程や支給条件

を確認しておくことが大切です。


退職金の条件も確認

退職金制度がある場合、

勤続何年以上で対象になるか

を確認します。

たとえば、

勤続3年以上

が条件なら、退職日によって対象になるかどうかが変わる可能性があります。

自己都合退職と他の退職理由で支給率が違う制度もあります。


退職前に私物整理もする

意外に後回しになるのが、

ロッカー

デスク

個人ファイル

などです。

数年間勤務していると、かなり物が増えています。

最終日に全部持ち帰ろうとせず、少しずつ整理しておきましょう。


退職挨拶は簡潔で大丈夫

最終出勤日には、

上司。

同僚。

関係部署。

などに挨拶することがあります。

長いスピーチは必要ありません。

たとえば、

「これまで大変お世話になりました。皆さんから多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。」

程度でも十分です。


菓子折りは必要?

退職時のお菓子は義務ではありません。

職場の慣習によって持参する人もいますが、

必ず用意しなければならないものではありません。

無理をしなくて大丈夫です。


転職先を言わなければいけない?

必ずしも詳細まで話す必要はありません。

「次はどこ?」

と聞かれても、

答えたくなければ、

「新しい職場は決まっていますが、詳細は控えさせてください。」

という対応でも構いません。


SNSで職場への不満を書かない

退職が決まって気持ちが楽になると、

SNSで、

「やっと辞められる」

「最悪の病院だった」

などと書きたくなることもあるかもしれません。

しかし、職場や患者さんが特定される可能性もあります。

守秘義務や個人情報にも注意が必要です。

退職後も含め、職場・患者に関する情報発信には慎重になりましょう。


円満退職の7ステップ

ここまでを流れで整理します。

STEP1 退職希望日を決める

次の入職日から逆算します。

STEP2 就業規則を確認する

申し出期限などを確認します。

STEP3 直属の上司へ伝える

退職意思と希望日を明確に伝えます。

STEP4 退職届など必要書類を提出する

勤務先のルールに従います。

STEP5 引き継ぎをする

業務を整理して後任へ伝えます。

STEP6 有給消化・最終出勤日を調整する

退職日と最終出勤日は分けて考えます。

STEP7 退職書類・返却物を確認する

次の入職や社会保険手続きに備えます。


退職前チェックリスト

退職希望日を決めた

就業規則を確認した

上司へ退職意思を伝えた

退職届などを提出した

有給残日数を確認した

最終出勤日を決めた

引き継ぎを作成した

制服・職員証などの返却を確認した

退職時に受け取る書類を確認した

次の職場の入職日を確認した


引き止められても「なぜ転職するのか」に戻る

退職を伝えると、

給与を上げる。

夜勤を減らす。

異動させる。

などの提案を受けることがあります。

そこで迷ったら、

最初に転職を考えた理由

に戻ってください。

もし、その条件変更で悩みが解決するなら、残る選択もあります。

でも、

転職先で実現したいことが明確なら、予定どおり進む方がよいかもしれません。


円満退職=何でも職場の希望を受け入れることではない

円満退職というと、

「職場に迷惑をかけないように、全部言われたとおりにしなければ」

と思うかもしれません。

そうではありません。

自分の希望を伝える。

有給取得を相談する。

退職日を調整する。

必要な引き継ぎをする。

そのうえで、

お互いに必要な手続きをきちんと行う

ことが円満退職です。


転職先が決まってから退職を伝えるメリット

可能であれば、

内定条件を確認して転職先を決めてから退職を伝える

方が安心です。

次が決まっていれば、

収入の見通し。

入職日。

退職希望日。

を具体的に決められます。

「とにかく今すぐ辞めたい」

という場合を除き、在職中に転職活動を進める方法も検討してみましょう。


最後まで「次の職場へ気持ちよく進む」ことを考える

転職するときには、

今の職場への不満があることもあります。

それでも、

何年も働いた職場なら、

学んだこと。

出会った人。

経験した看護。

があるはずです。

最後まで必要な仕事を終え、

引き継ぎをして、

「お世話になりました」

と退職できれば、新しい職場へ気持ちよく進めます。


退職は転職活動の最後の仕事

転職活動は、

求人を探す。

応募する。

面接を受ける。

内定をもらう。

で終わりではありません。

最後に、

今の職場をきちんと退職する

ところまでが転職活動です。

そしてその次の日から、

新しい職場でのキャリアが始まります。

焦らず、一つずつ進めていきましょう。


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