「応募したい求人が見つかった」
その次に待っているのが、履歴書や職務経歴書の作成です。
いざ書こうとすると、
「志望動機って何を書けばいい?」
「自己PRなんて思いつかない」
「病院を3回転職しているけど、全部書く?」
「職務経歴書には看護師業務をどこまで書けばいい?」
と、手が止まってしまうことがあります。
でも、難しく考えすぎる必要はありません。
応募書類の目的は、
自分を必要以上によく見せることではなく、「どんな経験があり、なぜこの職場で働きたいのか」を相手に分かりやすく伝えること
です。
今回は、看護師の転職で使う履歴書・職務経歴書の基本的な書き方を、志望動機や自己PRの例文とともに解説します。
履歴書と職務経歴書は何が違う?
まず、この2つの役割を整理しましょう。
履歴書
履歴書は、
氏名
連絡先
学歴
職歴
資格
志望動機
など、応募者の基本情報をまとめる書類です。
いわば、
「私はこういう人です」
を簡潔に伝える書類です。
職務経歴書
職務経歴書は、
どこで
どのくらい
どんな仕事をしてきたか
を詳しく伝えるための書類です。
看護師なら、
急性期病棟5年。
慢性期病棟3年。
プリセプター経験。
委員会活動。
リーダー業務。
などを書きます。
つまり、
履歴書=基本プロフィール
職務経歴書=仕事の経験と強み
と考えると分かりやすいでしょう。
履歴書は「空欄を埋める書類」ではない
履歴書を作るとき、
全部の欄をとにかく埋めよう
と考えがちです。
でも重要なのは、
採用担当者が短時間で理解できること
です。
文字を詰め込みすぎず、
読みやすく。
事実を正確に。
志望理由は具体的に。
これを意識しましょう。
写真は清潔感を意識する
履歴書の写真は、第一印象に関わります。
高価な写真館で撮らなければならないわけではありませんが、
清潔感
明るい表情
落ち着いた服装
を意識しましょう。
スーツやジャケットなど、応募先に失礼のない服装が無難です。
看護師だからといって、白衣姿の写真を使う必要はありません。
学歴はどこから書く?
履歴書の学歴は、指定様式がなければ一般に、中学校卒業以降や高校入学以降などから記載する方法があります。
大切なのは、
学校名を正式名称で書くこと
です。
たとえば、
○○高校
ではなく、
○○県立○○高等学校
などです。
看護学校や大学についても、学部・学科・課程まで必要に応じて記載します。
看護師の職歴は「入職・退職」を分かりやすく
職歴も正式名称で書きます。
たとえば、
20XX年4月 医療法人○○会 ○○病院 入職
20XX年3月 一身上の都合により退職
という形です。
部署異動があった場合は、
内科病棟配属
救急外来へ異動
などを記載してもよいでしょう。
転職回数が多くても省略しない
「転職回数が多いから、一つ消した方がいいかな」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、原則として職歴は事実に沿って記載するのが基本です。
短期間の職歴だからといって意図的に隠すより、
必要であれば面接で、
なぜ退職したのか
その経験から何を学んだのか
を説明できるようにしておきましょう。
看護師免許は資格欄に正式名称で
資格欄には、
看護師免許
などを記載します。
ほかにも応募先に関係する資格があれば、
保健師。
助産師。
認定看護師。
専門看護師。
ケアマネジャー。
などを記載できます。
応募先と関係の薄い資格を大量に並べる必要はありません。
志望動機は「なぜ辞めるか」ではなく「なぜここか」
志望動機でよくある失敗が、
今の職場への不満を書くこと
です。
たとえば、
「現在の病院は残業が多いため、残業の少ない貴院を志望しました」
だけでは、
「条件だけで選んでいるのかな」
という印象になる可能性があります。
志望動機では、
なぜ転職するのか
だけではなく、
なぜこの病院・施設なのか
を書くことが重要です。
志望動機は3段階で作る
迷ったら、次の3つで考えてください。
① これまで何を経験した?
急性期病棟で8年間勤務。
高齢患者の退院支援を経験。
などです。
② これから何をしたい?
患者と長期的に関わりたい。
在宅看護を学びたい。
などです。
③ なぜ応募先なの?
地域医療に力を入れている。
在宅復帰支援を重視している。
教育体制がある。
などです。
この3つをつなげます。
志望動機の例文① 急性期から慢性期へ
急性期病棟で8年間勤務し、術後管理や急変対応など幅広い看護を経験してきました。その中で、患者様の退院後の生活や長期的な療養支援により深く関わりたいと考えるようになりました。長期療養を支える看護に力を入れている貴院で、これまでの急性期経験を活かしながら、患者様一人ひとりに継続して関わる看護を実践したいと考え志望いたしました。
ポイントは、
「急性期が嫌だから辞める」
ではなく、
経験を次の職場でどう生かしたいか
に変えていることです。
志望動機の例文② クリニックへ転職
総合病院の内科病棟で6年間勤務し、慢性疾患を持つ患者様の看護に携わってきました。入院中だけでなく、地域で生活しながら継続的に治療を受ける患者様を支える看護に関心を持つようになりました。地域に根ざした診療を行っている貴院で、これまで培った観察力や患者指導の経験を活かし、身近な医療を支える看護師として働きたいと考えています。
志望動機の例文③ 訪問看護へ転職
急性期病棟で勤務する中で、退院後の生活に不安を抱える患者様やご家族と関わる機会が多く、在宅療養を支える看護に関心を持つようになりました。病院で培った状態観察や急変時対応の経験を活かしながら、利用者様の生活の場で一人ひとりに寄り添った看護を実践したいと考え、貴事業所を志望いたしました。
「家から近いから」は書いてはいけない?
通勤時間は職場選びの大切な条件です。
ただ、
「家から近いから志望しました」
だけでは弱い志望動機になります。
たとえば、
「長期的に勤務できる環境を探しており、地域に根ざした医療を提供する貴院の方針にも魅力を感じた」
など、仕事内容や職場の特徴と組み合わせるとよいでしょう。
「給料が高いから」も志望動機の中心にはしない
給与は転職先を決める重要な条件です。
給与を重視すること自体は問題ありません。
ただし、履歴書の志望動機では、
給与条件だけ
を理由にするより、
仕事内容。
理念。
診療内容。
キャリア。
働き方。
など、応募先で働きたい理由を中心にしましょう。
自己PRは「性格」だけを書かない
自己PRで、
責任感があります
明るい性格です
コミュニケーション能力があります
と書くだけでは、少し抽象的です。
大切なのは、
それが分かる経験
を添えることです。
自己PRは「強み+具体例+応募先でどう生かす」で作る
次の3段階で考えます。
強み
観察力。
調整力。
コミュニケーション。
後輩指導。
急変対応。
↓
具体例
どんな場面で発揮した?
↓
応募先でどう生かす?
これをつなげます。
自己PR例文① 観察力
私の強みは、患者様の小さな変化を意識して観察することです。急性期病棟では、バイタルサインだけでなく表情や訴え、普段との違いを確認し、早期に医師へ報告することを心がけてきました。これまで培った観察力を活かし、新しい職場でも安全で安心できる看護につなげていきたいと考えています。
自己PR例文② コミュニケーション
患者様やご家族が話しやすい雰囲気をつくることを大切にしています。入院中の不安や退院後の生活について丁寧に話を伺い、多職種と共有しながら退院支援につなげてきました。今後も相手の思いを聞き取り、チームで共有できる看護師として働きたいと考えています。
自己PR例文③ 後輩指導
これまで新人看護師や後輩の指導に携わり、相手の経験や理解度に合わせて伝えることを心がけてきました。質問しやすい雰囲気づくりを意識し、自分自身も一緒に確認しながら学ぶ姿勢を大切にしています。これまでの経験を活かし、チーム全体で安全な看護を提供できるよう貢献したいと考えています。
「自己PRすることがない」と思ったら
特別な表彰や資格がなくても大丈夫です。
毎日の仕事の中に強みがあります。
たとえば、
8年間同じ病棟で勤務した
→継続力
急変対応を経験した
→判断力
新人指導をした
→教育力
退院支援を担当した
→調整力
患者・家族対応を大切にした
→コミュニケーション力
です。
「すごい実績」を探す必要はありません。
職務経歴書には何を書く?
看護師の職務経歴書では、主に、
勤務先
勤務期間
病院・施設の種類
配属部署
病床数
担当した患者層
主な業務
役割
経験した看護技術
などを書きます。
職務経歴書の基本構成
たとえば、次のように作れます。
職務要約
看護師として総合病院に8年間勤務。内科・外科混合病棟で、急性期患者の術前術後管理、点滴管理、退院支援などを経験。新人指導やリーダー業務にも携わった。
職務経歴
20XX年4月〜20XX年3月
医療法人○○会 ○○病院
病床数:300床
配属:一般病棟
主な業務:
- 入院患者の看護
- 点滴・注射
- 術前術後管理
- 入退院支援
- 患者・家族指導
- 夜勤
- リーダー業務
役割:
- プリセプター
- 医療安全委員
- 病棟リーダー
業務を全部書く必要はない
看護師業務は非常に多いです。
採血。
注射。
吸引。
点滴。
清潔ケア。
記録。
申し送り。
これらをすべて並べると読みにくくなります。
応募先に関係する経験を中心にまとめましょう。
たとえば訪問看護なら、
在宅復帰支援
家族指導
医療処置
などを少し強調できます。
応募先によって職務経歴書を少し変える
すべての求人に全く同じ職務経歴書を送るより、応募先に合わせて少し調整すると効果的です。
たとえば、
急性期病院
急変対応。
医療処置。
リーダー経験。
訪問看護
退院支援。
患者・家族指導。
自己判断力。
介護施設
高齢者看護。
認知症看護。
多職種連携。
というように、関連する経験を前に出します。
退職理由は履歴書に詳しく書く必要がある?
履歴書の職歴欄では、
一身上の都合により退職
など、簡潔に記載する方法があります。
詳しい退職理由は、必要に応じて面接で説明します。
「人間関係が悪かった」
「師長と合わなかった」
などを履歴書に詳しく書く必要はありません。
面接で退職理由を聞かれたら?
退職理由では、
前職の悪口にしない
ことが重要です。
たとえば、
「夜勤がきつかった」
なら、
今後長期的に働くことを考え、生活リズムを整えながら看護師として経験を活かせる職場を希望するようになりました。
と前向きに言い換える方法があります。
短期離職はどう説明する?
半年や1年程度で退職した職歴がある場合、
「何と説明すればいい?」
と悩むことがあります。
大切なのは、
事実をごまかさないこと
です。
そのうえで、
なぜ退職したのか。
そこから何を学んだのか。
次は何を重視しているのか。
を説明します。
たとえば、
入職後、想定していた業務内容との違いがあり短期間で退職しました。その経験から、転職時には仕事内容や勤務体制を事前に十分確認することの大切さを学びました。今回は職場見学を行い、仕事内容を理解したうえで応募しています。
という形です。
ブランク期間は隠さない
育児。
介護。
療養。
家族事情。
留学。
などでブランクがある場合も、必要以上に不安になる必要はありません。
職歴をごまかすのではなく、
現在は勤務可能な状況であること
復職に向けて準備していること
などを伝えましょう。
履歴書の志望動機を使い回さない
複数の求人へ応募するときにありがちなのが、
志望動機を病院名だけ変えて使う
ことです。
採用担当者には、
「どこでもいいのかな」
と伝わってしまう可能性があります。
最低でも、
応募先の特徴
を一つ入れましょう。
たとえば、
地域包括ケア。
救急医療。
在宅支援。
専門診療。
教育制度。
などです。
応募先のホームページを確認する
志望動機を書く前に、応募先のホームページを見ておきましょう。
確認したいのは、
病院・施設の理念
診療内容
看護部の方針
教育制度
地域での役割
などです。
その中から、自分の経験や希望と重なる部分を探します。
「理念に共感しました」だけでは弱い
よくある志望動機が、
「貴院の理念に共感し志望しました」
です。
これだけでは具体性がありません。
たとえば、
貴院が掲げる「患者様の生活を見据えた退院支援」という方針に魅力を感じました。私は急性期病棟で退院支援に携わる中で、入院中だけでなく退院後の生活を考えた看護の重要性を感じてきました。
と、自分の経験につなげると説得力が出ます。
誤字・病院名の間違いは必ずチェック
内容以前に注意したいのが、
誤字
病院名の間違い
です。
特に複数応募すると、
A病院への履歴書にB病院の名前が残っている
というミスが起こります。
提出前には、
病院名。
日付。
氏名。
電話番号。
メールアドレス。
年月。
を確認しましょう。
西暦と和暦はそろえる
履歴書内で、
2020年。
令和3年。
2022年。
のように混在すると読みにくくなります。
西暦なら西暦。
和暦なら和暦。
に統一するときれいです。
メールアドレスも確認する
応募用のメールアドレスは、
採用担当者が見ても違和感のないものがおすすめです。
ニックネームや意味の分かりにくい文字列より、
氏名をベースにしたシンプルなメールアドレスの方が使いやすいでしょう。
手書きとパソコン、どちらがいい?
応募先から指定がある場合は、それに従います。
指定がなければ、パソコンで作成することも一般的です。
重要なのは、
手書きかパソコンかより、読みやすく正確であること
です。
同じ情報を複数の求人に提出する場合、パソコンで作成しておくと修正もしやすくなります。
履歴書と職務経歴書は内容を完全に重複させない
履歴書の志望動機と職務経歴書の自己PRに、まったく同じ文章を書く必要はありません。
履歴書では、
なぜ応募するか
を簡潔に。
職務経歴書では、
どんな経験・強みがあるか
を詳しく。
役割を分けると読みやすくなります。
履歴書を提出する前の10項目チェック
提出前に確認しましょう。
① 応募先の正式名称は合っている?
② 日付は合っている?
③ 学歴・職歴の年月は合っている?
④ 職歴を省略していない?
⑤ 資格名は正式名称?
⑥ 志望動機が応募先の内容になっている?
⑦ 自己PRに具体例がある?
⑧ 誤字脱字はない?
⑨ 写真は適切?
⑩ 職務経歴書と内容が矛盾していない?
志望動機の型を覚えておこう
最後に、最も使いやすい型をまとめます。
これまでの経験
↓
転職で実現したいこと
↓
応募先を選んだ理由
↓
経験をどう生かすか
です。
たとえば、
急性期病棟で8年間勤務し、幅広い疾患の患者様の看護を経験してきました。その中で退院後の生活を支える看護に関心を持つようになりました。在宅復帰支援に力を入れている貴院で、これまで培った観察力や退院支援の経験を活かし、患者様の生活を見据えた看護に携わりたいと考え志望いたしました。
この形なら、応募先に合わせて内容を変えやすくなります。
応募書類は「自分を盛るもの」ではなく「伝えるもの」
履歴書を書くと、
「もっと立派なことを書かないと」
と思うかもしれません。
でも、
特別な資格がなくても。
管理職経験がなくても。
表彰歴がなくても。
毎日患者さんと向き合ってきた経験があります。
その中から、
自分が何を大切にしてきたか
何を経験してきたか
次の職場で何をしたいか
を分かりやすく伝えれば十分です。
書類選考の先には「面接」がある
履歴書と職務経歴書は、すべてを説明するためのものではありません。
応募書類を読んだ採用担当者が、
「この人と話してみたい」
と思えることが重要です。
だから、細かい内容まで詰め込みすぎず、
面接で話したい経験につながる内容
を意識してみてください。
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第4回|看護師の職場見学で見るべき10項目|求人票では分からない職場の見抜き方
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