求人票に、
昇給あり
と書いてあると、
「毎年、給料が上がるんだ」
と安心するかもしれません。
でも、ここで少し立ち止まってみましょう。
いくら上がるのでしょうか?
月1,000円なのか。
5,000円なのか。
1%なのか。
評価によって大きく変わるのか。
「昇給あり」という一言だけでは、数年後の給与までは分かりません。
転職先を長く働く場所として考えるなら、今の月給だけでなく、
「この職場で3年、5年働いたときに給与はどう変わるのか」
という視点も大切です。
今回は、求人票の「昇給あり」をどう読めばよいのか、具体的な数字で解説します。
そもそも「昇給」とは?
昇給とは、一般に基本給などの賃金額が上がることです。
たとえば、
基本給 220,000円
↓
翌年 223,000円
となれば、月3,000円の昇給です。
一方で、
夜勤回数が増えて月収が上がった
残業が多くて手取りが増えた
というのは、昇給とは別です。
昇給を見るときは、
固定的な賃金がどのように上がるか
を確認しましょう。
「昇給あり」だけでは金額は分からない
求人票に、
昇給あり
と書いてあっても、
毎年必ず1万円上がるとは限りません。
たとえば、
月1,000円昇給
なら、1年間で増える基本給は月1,000円です。
年間では、
1,000円×12か月=12,000円
です。
一方、
月5,000円昇給
なら、
5,000円×12か月=60,000円
です。
同じ「昇給あり」でも、年間で5倍の差があります。
昇給額は「月額」で書かれていることがある
求人票では、
昇給 1月あたり1,000円〜5,000円
などと記載されることがあります。
この場合は、月額の基本給等が1,000〜5,000円上がった実績を示している可能性があります。
たとえば基本給220,000円の人が3,000円昇給すれば、
223,000円
です。
さらに翌年も3,000円昇給すれば、
226,000円
となります。
小さな金額に見えても、何年も積み重なると差は大きくなります。
「昇給率」で書かれている場合もある
昇給は金額ではなく、
昇給率 1.0%〜2.0%
などと表示されることもあります。
たとえば基本給250,000円で2%昇給なら、
250,000円×2%=5,000円
なので、
翌年の基本給は
255,000円
です。
基本給200,000円なら、同じ2%でも、
4,000円
の昇給です。
昇給率の場合は、現在の基本給によって実際の昇給額が変わることを覚えておきましょう。
「前年度実績」に注意
昇給欄にも、
前年度実績
と書かれていることがあります。
たとえば、
昇給 1月あたり2,000円〜5,000円(前年度実績)
という記載です。
これは、
「今年も必ず同じ金額が上がる」
という保証ではありません。
昇給額は、
- 法人や会社の業績
- 人事評価
- 職種
- 等級
- 勤続年数
- 賃金制度
などによって変わる場合があります。
「前年度実績」は、あくまで過去の参考値として考えましょう。
「毎年必ず昇給」とは限らない
求人票に「昇給あり」と書かれていても、
全員が毎年必ず昇給する
とは限らない場合があります。
たとえば、
人事評価による
業績による
規程による
という制度です。
評価が一定基準に達しなければ昇給しないこともあり得ます。
そのため、
「昇給あり」=自動的に毎年上がる
とは考えない方が安全です。
看護師の昇給は何で決まる?
看護師の職場では、昇給の仕組みもさまざまです。
たとえば、
勤続年数に応じて昇給
する職場もあれば、
人事評価
職能等級
役割
資格取得
などによって給与が上がる職場もあります。
また、公的病院や大規模法人では、賃金表や号俸制度が整っていることもあります。
一方、小規模なクリニックなどでは、昇給制度の運用がより個別的な場合もあります。
求人票だけでは分からないときは、
「昇給はどのような基準で決まりますか?」
と確認してもよいでしょう。
同じ月給でも5年後は違う
2つの求人を比較してみます。
求人A
基本給 240,000円
昇給 毎年5,000円と仮定
求人B
基本給 250,000円
昇給 毎年1,000円と仮定
入職時は求人Bの方が高いです。
しかし5年間、単純に同じ額ずつ昇給したとすると、
求人A
240,000円
→245,000円
→250,000円
→255,000円
→260,000円
→265,000円
求人B
250,000円
→251,000円
→252,000円
→253,000円
→254,000円
→255,000円
5年後には求人Aの方が高くなります。
もちろん実際の昇給は毎年同じとは限りませんが、
「初任給だけでなく、その後どう上がるか」
を見ることの大切さが分かります。
基本給が上がると賞与にも影響することがある
勤務先によっては、賞与を基本給を基準に計算する制度があります。
その場合、昇給で基本給が上がれば、賞与額にも影響する可能性があります。
たとえば、
基本給220,000円
賞与4ヶ月分
なら、
220,000円×4=880,000円
です。
基本給が240,000円まで上がれば、
240,000円×4=960,000円
です。
8万円の差になります。
もちろん、賞与の算定方法は勤務先によって違います。
しかし、基本給の昇給は月給だけでなく、賞与や退職金制度にも影響する可能性があることを覚えておきましょう。
「昇給なし」の求人は悪い?
では、
昇給なし
と書かれている求人は避けるべきでしょうか。
必ずしもそうとは限りません。
たとえば、
年俸制
で、毎年契約時に給与を見直す職場もあります。
また、
初任給がかなり高く設定されている代わりに、
定期昇給がない
という制度も考えられます。
重要なのは、
昇給の有無だけではなく、長期的に給与がどう変わる制度なのか
を見ることです。
「定期昇給」と「ベースアップ」は違う
給与が上がる仕組みには、
定期昇給
と
ベースアップ
という言葉があります。
定期昇給は、勤続年数や評価などに応じて、個人の賃金が上がる仕組みです。
一方、ベースアップは、賃金表そのものの水準を引き上げるような賃上げです。
求人票に「昇給あり」と書いてある場合、通常は個人の昇給実績を示していることが多いですが、制度の詳細は勤務先によって異なります。
昇給は「基本給が上がる」のか確認する
ここも重要です。
「昇給あり」と聞くと、
基本給が上がる
と思うかもしれません。
しかし勤務先によっては、
職務手当が増える
役職手当がつく
など、給与総額が上がる仕組みもあります。
長期的な給与を比較するなら、
何の項目が上がるのか
まで確認できるとより正確です。
昇給5,000円は大きい?小さい?
たとえば月5,000円昇給したとします。
年間では、
5,000円×12=60,000円
です。
さらに、翌年も同額昇給したと仮定すると、
2年後には月給が1万円高くなります。
年間では、
120,000円
の差です。
賞与の基礎になる場合には、さらに差が広がる可能性があります。
「月5,000円」という数字だけを見ると小さく感じても、
年間・数年間で見る
と印象は変わります。
求人票で昇給を見るときの6つのチェックポイント
昇給欄では、次の6項目を確認してみましょう。
① 昇給制度はあるか
まず「昇給あり/なし」を確認します。
② 金額はいくらか
月1,000円、5,000円など、具体的な金額を確認します。
③ 昇給率なら何%か
1%、2%などの場合は、基本給に当てはめて計算してみます。
④ 前年度実績か
過去の数字なのか、制度として保証された数字なのかを分けて考えます。
⑤ 何を基準に昇給するか
勤続年数、人事評価、業績などを確認します。
⑥ 基本給が上がるのか
賞与や退職金に関係する可能性もあるので、確認できると安心です。
面接で昇給について聞いてもいい?
もちろん確認して構いません。
たとえば、
「求人票に昇給ありとありますが、例年どの程度の昇給実績がありますか?」
と聞けば、具体的な数字を確認できます。
さらに、
「昇給は勤続年数によるものですか、それとも人事評価によって決まりますか?」
と聞けば、制度の仕組みも分かります。
「給料のことばかり聞いていると思われないかな」
と心配するかもしれませんが、昇給は長期的な労働条件の一つです。
聞き方を丁寧にすれば問題ありません。
「昇給あり」の一言で安心しない
求人票の、
昇給あり
という言葉は、魅力的に見えます。
しかし重要なのは、
いくら上がるのか
毎年なのか
誰でも上がるのか
何を基準に決まるのか
です。
昇給が月1,000円の職場と5,000円の職場では、数年後の給与に大きな差が出る可能性があります。
今の月給だけを見るのではなく、
「この職場で5年働いたらどうなる?」
と考えてみること。
それが、長く働く転職先を選ぶときの大切な視点です。
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