求人票に、
賞与 年2回・計4.0ヶ月分
と書いてあったら、どう計算しますか?
月給30万円の求人なら、
30万円×4ヶ月=120万円
と思うかもしれません。
でも、ここには大きな落とし穴があります。
賞与の「○ヶ月分」が、月給そのものを基準にしているとは限らないからです。
たとえば、
基本給 220,000円
資格手当 20,000円
職務手当 20,000円
月給 260,000円
という求人で、賞与が「基本給4ヶ月分」なら、
220,000円×4=880,000円
です。
月給26万円×4ヶ月の104万円ではありません。
求人票の賞与欄を見るときは、
「何ヶ月分か」だけではなく、「何を基準に計算するのか」
まで確認することが大切です。
今回は、求人票の賞与欄を正しく読むためのポイントを解説します。
まず「賞与○ヶ月分」の意味を整理しよう
求人票には、
賞与あり
年2回
計4.0ヶ月分
などと書かれていることがあります。
この「4.0ヶ月分」は、一般に一定の基準額に対する支給実績を示す表現です。
重要なのは、
基準額が何か
です。
勤務先によっては、
基本給のみ
を基準にする場合もあれば、
基本給+一部の手当
を算定基礎にする場合もあります。
また、そもそも「○ヶ月分」ではなく、
業績・評価・職位などで個別に決まる
制度もあります。
つまり、
賞与4ヶ月=月給4ヶ月分
と決めつけないことが重要です。
基本給を基準にすると、同じ月給でも賞与は違う
2つの求人を比較してみます。
求人A
基本給 270,000円
手当 30,000円
月給 300,000円
賞与 4ヶ月分
求人B
基本給 200,000円
手当 100,000円
月給 300,000円
賞与 4ヶ月分
どちらも月給30万円、賞与4ヶ月です。
もし両方とも基本給を基準に計算するなら、
求人A
270,000円×4=1,080,000円
求人B
200,000円×4=800,000円
となります。
同じ月給30万円でも、賞与額には28万円の差が出ます。
だからこそ、賞与を見るときは第3回で解説した基本給の確認が重要になります。
「年2回」と「4ヶ月分」は別の情報
ここも混同しやすいところです。
たとえば、
賞与 年2回・計4ヶ月分
なら、
「1回2ヶ月分ずつ」
と思うかもしれません。
実際には、
夏 1.5ヶ月
冬 2.5ヶ月
のように、支給割合が異なる場合もあります。
また、
夏 2ヶ月
冬 2ヶ月
と均等な場合もあります。
「年2回」は支給回数、
「計4ヶ月分」は年間合計の支給実績等を示す情報です。
別々に見る必要があります。
「前年度実績」に注意
求人票では、
賞与 年2回 計4.0ヶ月分(前年度実績)
のように書かれていることがあります。
ここで重要なのが、
前年度実績=今年も必ず同じ
ではないという点です。
賞与は、就業規則や賃金規程、雇用契約、会社・法人の業績、本人評価などによって支給額が変わることがあります。
そのため、
前年度4ヶ月だったから、今年も必ず4ヶ月
とは限りません。
求人票を見るときは、
「実績」なのか「保証される条件」なのか
を分けて考えましょう。
「賞与あり」だけでは金額は分からない
求人票には、
賞与あり
とだけ書かれている場合もあります。
この場合、
年何回なのか。
何ヶ月分なのか。
金額はいくらなのか。
までは分からないことがあります。
賞与を重視するなら、
前年度実績
支給回数
算定基礎
入職初年度の扱い
を確認すると安心です。
入職1年目は満額もらえないことがある
転職時に見落としやすいのが、初年度の賞与です。
たとえば4月入職で、
夏に賞与
冬に賞与
がある職場でも、夏の賞与は算定期間の在籍が短いため、
寸志
一部支給
支給なし
となる場合があります。
そのため、
「賞与4ヶ月分だから、初年度も4ヶ月分もらえる」
とは限りません。
転職後1年目の年収を考えるなら、
「入職初年度の賞与はどのように計算されますか?」
と確認しておくと安心です。
賞与の算定期間とは?
賞与には、支給額を決めるための算定期間が設けられていることがあります。
たとえば、
夏賞与
→前年10月〜当年3月
冬賞与
→当年4月〜9月
のような形です。
途中入職すると、その期間をすべて勤務していないため、満額支給にならないことがあります。
制度は勤務先によって異なるので、初年度の賞与を重視する場合は確認が必要です。
看護師求人では「夜勤手当」は賞与基礎に入る?
看護師の場合、月給の中で大きな割合を占めることがあるのが夜勤手当です。
たとえば、
基本給 230,000円
資格手当 20,000円
夜勤手当 70,000円
月収 320,000円
という求人で、
賞与4ヶ月分
と書いてあったとします。
「32万円×4=128万円」
と計算したくなりますが、夜勤手当のような勤務実績によって変動する手当が賞与算定基礎に含まれない制度もあります。
もし基本給23万円を基準にするなら、
230,000円×4=920,000円
です。
夜勤手当込みの月収だけを見て賞与を予想しないことが大切です。
「基本給が低くて賞与4ヶ月」と「基本給が高くて賞与3ヶ月」を比べる
賞与は「何ヶ月分か」だけで比較しない方がよい理由を、もう一つ具体例で見てみましょう。
求人A
基本給 200,000円
賞与 4ヶ月
800,000円
求人B
基本給 270,000円
賞与 3ヶ月
810,000円
基本給を算定基礎と仮定すると、
「4ヶ月」の求人Aより、
「3ヶ月」の求人Bの方が賞与額は高くなります。
つまり、
賞与○ヶ月という倍率だけでは比較できない
ということです。
賞与は年収で考える
求人を比較するときは、
月給+賞与
を合わせて年収で考えると分かりやすくなります。
たとえば、
求人A
月給 300,000円
賞与 800,000円
300,000円×12+800,000円
=4,400,000円
求人B
月給 280,000円
賞与 1,100,000円
280,000円×12+1,100,000円
=4,460,000円
月給は求人Aの方が高くても、年間で見ると求人Bの方が高くなります。
求人票では、
月給だけでなく想定年収でも比較する
視点を持つとよいでしょう。
賞与には「業績連動」があることも
求人票に、
賞与あり(業績による)
と書かれていることがあります。
この場合、勤務先の業績などによって支給額が変わる可能性があります。
特に民間企業や一部の医療・介護法人では、
前年と同じ金額が必ず支給されるわけではない
こともあります。
「賞与あり」という言葉だけで年収を固定的に考えない方が安全です。
評価で個人差がつく場合もある
賞与は業績だけでなく、個人評価によって差がつく制度もあります。
たとえば、
標準評価 2.0ヶ月
高評価 2.3ヶ月
低評価 1.7ヶ月
のような制度です。
求人票に「計4ヶ月分」と書かれていても、全員が一律4ヶ月とは限らない場合があります。
気になる場合は、
「賞与額は一律ですか、それとも評価によって変わりますか?」
と確認してもよいでしょう。
「賞与なし」でも悪い求人とは限らない
逆に、
賞与なし
という求人もあります。
賞与がないと条件が悪く見えますが、
月給を高く設定して年俸制に近い形
にしている求人もあります。
たとえば、
求人A
月給25万円
賞与100万円
年収
25万円×12+100万円
=400万円
求人B
月給34万円
賞与なし
年収
34万円×12
=408万円
この場合、賞与なしの求人Bの方が年収は高くなります。
重要なのは、
賞与があるかないかではなく、年間でいくら受け取れるか
です。
賞与からも社会保険料などが差し引かれる
賞与100万円と聞くと、
「100万円そのまま受け取れる」
と思うかもしれません。
実際には、一定の要件のもとで賞与からも、
健康保険料
厚生年金保険料
雇用保険料
所得税
などが差し引かれます。
そのため、
賞与額=手取り額
ではありません。
求人票の賞与額は、基本的に額面として考えましょう。
求人票の賞与欄で確認したい7項目
賞与を見るときは、次の7項目を確認すると分かりやすくなります。
① 賞与はあるか
まず制度の有無を確認します。
② 年何回支給されるか
年1回、年2回、年3回などです。
③ ○ヶ月分なら何を基準にするのか
基本給なのか、別の算定基礎なのかを確認します。
④ 「前年度実績」か
今年も同じ額が保証されるとは限りません。
⑤ 初年度はどうなるか
入職時期によって減額・寸志・支給なしの場合もあります。
⑥ 業績・評価によって変わるか
一律支給か個人差があるかも確認します。
⑦ 年収にするといくらか
月給と合わせて年間収入を比較しましょう。
面接で賞与について聞いていい?
賞与は重要な労働条件の一つなので、確認して構いません。
ただし、
「ボーナスはいくらもらえますか?」
だけではなく、
「求人票に賞与4ヶ月分とありますが、算定基礎は基本給でしょうか?」
や、
「中途入職の場合、初年度の賞与はどのような扱いになりますか?」
と聞くと、より具体的な情報が得られます。
年収を比較したい場合には、
「この条件の場合、想定年収はどの程度になりますか?」
と確認する方法もあります。
「賞与4ヶ月」の大きな数字だけを見ない
求人票では、
賞与4ヶ月!
という数字はとても魅力的に見えます。
でも、本当に知りたいのは、
何を4ヶ月分?
ということです。
基本給20万円の4ヶ月なのか。
基本給27万円の4ヶ月なのか。
さらに、
前年度実績なのか
初年度も同じなのか
評価で変わるのか
まで確認すると、実際の賞与が見えてきます。
求人票の賞与欄を見つけたら、
「○ヶ月」だけでなく、「○円くらいになる?」
まで計算してみましょう。
月給と賞与をセットで見る
給与を比較するときは、
月給
と
賞与
を別々に見るだけでは不十分です。
たとえば月給が少し低くても、基本給が高く賞与が多い求人もあります。
逆に、月給が高く見えても、固定残業代や手当の割合が大きく、賞与算定の基礎となる賃金が低い場合もあります。
だからこそ、
月給 → 基本給 → 賞与 → 年収
と順番に見ることが大切です。
あわせて読みたい
第3回|「基本給」と「月給」は何が違う?賞与・退職金にも影響する給与欄の見方
「賞与4ヶ月」を正しく理解するには、まず基本給と月給の違いを知っておくことが重要です。
第6回|求人票の「月給」に含まれるものは?基本給・手当・固定残業代を分解してみよう
月給を分解すると、賞与の基準になりそうな給与がどこなのか確認しやすくなります。

コメントを残す