第6回|求人票の「月給」に含まれるものは?基本給・手当・固定残業代を分解してみよう

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転職先を探していて、こんな求人を見つけたとします。

月給300,000円〜

仕事内容も悪くない。
休日も希望に近い。

そして何より、

「月給30万円なら今より上がる!」

と魅力を感じるかもしれません。

でも、応募ボタンを押す前に、もう少しだけ求人票を下まで見てみましょう。

そこには、

基本給 220,000円
資格手当 20,000円
職務手当 20,000円
固定残業代 40,000円

と書いてあるかもしれません。

合計すると確かに30万円です。

しかし、

基本給30万円の求人ではありません。

求人票の給与を見るときに大切なのは、

「月給はいくら?」から、もう一歩進んで「その月給は何でできている?」を見ること。

今回は、求人票に書かれている「月給」を一つずつ分解してみます。


まず「月給30万円」を4つに分解してみる

求人票の月給は、いくつかの賃金項目を合計した金額になっていることがあります。

たとえば、

給与の内訳金額
基本給220,000円
資格手当20,000円
職務手当20,000円
固定残業代40,000円
月給300,000

です。

求人広告では、

「月給30万円」

が一番大きく表示されているかもしれません。

しかし、内訳を見ると基本給は22万円です。

だからといって、この求人が悪いという意味ではありません。

重要なのは、

30万円という総額だけで、別の求人と比較しないこと

です。


まず「基本給」を確認する

最初に見るのが基本給です。

基本給は、その人の職務、能力、経験などをもとに勤務先の賃金制度によって決められる、給与の基本となる部分です。

求人票では、

基本給(月額平均)又は時間額

などの欄に記載されていることがあります。

なぜ基本給を見る必要があるのでしょうか。

それは勤務先によって、

賞与
退職金
昇給

などの算定に基本給が関係する場合があるからです。

たとえば同じ月給30万円でも、

求人A:基本給27万円+手当3万円

と、

求人B:基本給20万円+手当10万円

では給与構成がかなり違います。

詳しくは第3回「基本給と月給の違い」で解説しています。


次に「毎月固定で支払われる手当」を見る

基本給の次は手当です。

求人票には、

資格手当
職務手当
役職手当
処遇改善手当

などが書かれていることがあります。

たとえば、

基本給 230,000円
資格手当 20,000円
職務手当 10,000円

なら、

260,000

です。

ここで確認したいのは、

「自分がその手当の支給対象になるのか」

ということです。

資格手当なら、対象資格を持ち、その職種として勤務することなどが条件になっている場合があります。

手当の名称だけでなく、支給条件も確認しましょう。


「条件を満たしたときだけ」の手当を分ける

ここが非常に重要です。

求人票に記載されている手当の中には、全員が毎月必ず受け取れるとは限らないものがあります。

代表的なのが、

住宅手当
扶養手当・家族手当
夜勤手当
休日勤務手当
時間外勤務手当

などです。

たとえば、

住宅手当 上限30,000円

と書かれていても、

「賃貸住宅の契約者本人」

「世帯主」

などの条件が付いている場合があります。

自分が対象外なら、その3万円は受け取れません。

したがって、

求人票に書いてある手当を全部足した金額=自分の月給

とは限らないのです。


固定残業代が含まれていないか確認する

次に確認したいのが固定残業代です。

たとえば、

基本給 230,000円
資格手当 20,000円
固定残業代 50,000円(30時間分)

なら、

月給300,000円

です。

この場合、30万円のうち5万円は固定残業代です。

別の求人が、

基本給280,000円
資格手当20,000円
固定残業代なし

で同じ月給30万円だった場合、給与構成は大きく異なります。

固定残業代のある求人では、

金額
何時間分か
超過分の扱い
実際の残業時間

まで確認しましょう。

詳しくは第4回「固定残業代(みなし残業)とは?」で解説しています。


看護師は「夜勤手当」を別にして考える

看護師求人では、給与を読むときにもう一つ重要なものがあります。

夜勤手当です。

たとえば求人サイトに、

月収例:320,000円

と書いてあったとします。

内訳を見ると、

基本給 230,000円
資格手当 20,000円
夜勤手当 17,500円×4回=70,000円

合計320,000円

だったとします。

この32万円は、夜勤を月4回した場合の金額です。

夜勤をしなければ、

230,000円+20,000円
250,000円

です。

つまり、

「月収32万円」

「夜勤なしでも32万円」

では意味がまったく違います。


看護師求人は「夜勤なし」と「夜勤込み」の2つを計算する

看護師求人を見るときには、私は次のように2段階で計算することをおすすめします。

夜勤なし

基本給 230,000円
資格手当 20,000円

固定的な給与:250,000円

夜勤4回

250,000円
+夜勤手当17,500円×4回

月収例:320,000円

こうして分けると、

自分が夜勤をしなかった場合はいくらか

が一目で分かります。

求人同士を比較するときにも非常に便利です。


「月給」と「月収例」は同じとは限らない

求人広告では、

月給

月収例

が使い分けられていることがあります。

たとえば、

月給260,000円〜

その下に、

月収例330,000円(夜勤4回の場合)

と書かれているケースです。

この場合、

「毎月33万円が保証されている」

と考えるのは早すぎます。

月収例には、

夜勤手当
時間外手当
休日勤務手当

など、勤務実績によって変動する賃金が含まれている場合があります。

「月収例」という言葉を見つけたら、

何を含めてその金額になっているのか

を確認しましょう。


「月給○万円〜○万円」の上限にも注意

求人票には、

月給250,000円〜350,000円

のように幅を持たせた表示もあります。

「経験が長いから35万円かな」

と思いたくなりますが、上限額が自分に適用されるとは限りません。

給与額が、

経験年数
能力
役職
職歴
保有資格

などによって決まる場合があるからです。

このような求人では、

「私の経験年数の場合、基本給はいくらからになりますか?」

と確認すると具体的です。

第14回では「経験加算」について詳しく取り上げます。


2つの看護師求人を実際に比較してみよう

ここで、2つの架空の求人を比較します。

求人A

基本給 260,000円
資格手当 20,000円
夜勤手当 15,000円/回

求人B

基本給 220,000円
資格手当 20,000円
職務手当 20,000円
固定残業代 20,000円
夜勤手当 20,000円/回

夜勤4回として計算します。

求人A求人B
基本給260,000円220,000円
固定手当20,000円40,000円
固定残業代なし20,000円
夜勤手当4回60,000円80,000円
月収例340,000360,000

月収だけなら求人Bが2万円高くなります。

でも、ここで終わりではありません。

求人Aの基本給は26万円。
求人Bは22万円です。

さらに求人Bには固定残業代があります。

そこで、

賞与は何を基準に計算する?

固定残業代は何時間分?

実際の残業は何時間?

夜勤回数は毎月4回程度?

と確認していきます。

これが求人票を「読む」ということです。


月給だけでなく「賞与」を足して年収を見る

給与を比較するときは、最終的には年収でも考えてみましょう。

たとえば、

求人A

月給300,000円
賞与600,000円

なら、

300,000円×12+600,000円
420万円

求人B

月給280,000円
賞与1,000,000円

なら、

280,000円×12+1,000,000円
436万円

月給は求人Aの方が高いのに、賞与を加えると求人Bの方が高くなります。

ただし、夜勤手当や残業代などの変動賃金を含める場合は、実際の勤務実績によって年収も変わります。

求人票を見るときは、

月給 → 月収例 → 賞与 → 想定年収

と視野を広げていくと比較しやすくなります。


「手取り」は求人票の月給とは違う

もう一つ覚えておきたいのが手取り額です。

求人票の、

月給300,000円

が、そのまま銀行口座に30万円振り込まれるわけではありません。

一般に給与から、

健康保険料
厚生年金保険料
雇用保険料
所得税
住民税

などが控除されます。

実際の手取り額は、年齢、所得、扶養状況、加入する制度などによって変わります。

そのため求人票の給与額は、基本的に手取りではなく控除前の金額として確認する必要があります。


求人票の月給を「3つの箱」に分けてみよう

複雑に感じたら、給与を次の3つに分けると分かりやすくなります。

箱① 給与の土台

基本給

まずここを確認します。

箱② 毎月固定でもらえる給与

基本給に、

資格手当
職務手当

など、自分が対象となり毎月固定的に支給される手当を加えます。

箱③ 働き方や条件によって変わる給与

夜勤手当
時間外手当
休日勤務手当
住宅手当など条件付きの手当

を分けて考えます。

固定残業代が設定されている場合は、それも別項目として明確に把握します。

この3つに分けるだけで、「月給○万円」という一つの数字がかなり読みやすくなります。


求人票の給与欄で確認したい8項目

気になる求人を見つけたら、次の8項目を確認してみてください。

基本給はいくら?

給与の土台を確認します。

毎月固定で支払われる手当はいくら?

資格手当や職務手当などです。

条件付きの手当はどれ?

住宅手当、扶養手当などの支給条件を確認します。

固定残業代は含まれている?

含まれている場合は金額と対象時間を確認します。

看護師なら夜勤手当はいくら?

1回あたりの金額と想定回数を確認します。

月給と月収例を混同していない?

月収例に何が含まれているか確認します。

賞与はいくら?

「○か月分」なら、何を基準に算定するのかも重要です。

自分の経験年数なら実際にいくら?

給与に幅がある場合は、内定前に具体的な金額を確認しましょう。


求人を比較するときは同じ条件にそろえる

求人Aと求人Bを比較するとき、

求人Aは夜勤4回込み

求人Bは夜勤なし

の金額では、公平に比較できません。

おすすめは、

基本給

固定的な手当を加えた給与

夜勤4回ならいくら

想定年収はいくら

というように、同じ条件にそろえて比較することです。

これだけでも、「月給が一番高い求人」が必ずしも「給与条件が一番よい求人」とは限らないことが見えてきます。


「月給30万円」を見たら、その下を読む

求人票の給与欄で最も大きく表示されている数字は、確かに重要です。

でも、本当に知りたいのは、

「自分が、この職場で働いたら、何をして、いくら受け取るのか」

ではないでしょうか。

月給30万円を見つけたら、

基本給はいくら?

手当はいくら?

固定残業代は?

夜勤込み?

賞与は?

と一つずつ分解してみてください。

求人票の給与は、「総額を見る」から「内訳を読む」へ。

それだけで、転職先を比較する精度は大きく上がります。


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