第14回|「経験加算あり」とは?中途採用の給与がどう決まるか求人票から読み解く

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看護師の求人票を見ていると、

経験加算あり

経験を考慮します

前職給与を考慮

といった言葉を見かけることがあります。

「看護師経験10年だから、かなり高くなるかも」

そう期待する人もいるでしょう。

でも、ここで注意したいのが、

経験年数10年=10年分がそのまま100%給与に反映される

とは限らないことです。

勤務先によっては、

病院勤務の経験は100%評価

クリニック経験は一定割合で評価

パート経験は換算率が異なる

など、前歴の評価方法が決められている場合があります。

さらに、

どんな診療科で働いていたか

常勤だったか非常勤だったか

なども給与決定に影響することがあります。

今回は、求人票の「経験加算あり」をどう読めばよいのか解説します。


「経験加算」とは?

経験加算とは一般に、中途採用者の給与を決めるときに、

これまでの職務経験を一定程度評価して給与に反映すること

を指します。

たとえば、新卒看護師の基本給が、

220,000

だったとします。

看護師経験10年の人を同じ22万円で採用するのではなく、これまでの経験を考慮して、

基本給260,000円

などに設定する仕組みです。

ただし、加算方法は勤務先ごとに異なります。


「経験10年なら10年分加算」とは限らない

ここが最も重要です。

たとえば、

看護師経験10年

だったとしても、

勤務先が10年間すべてを同じように評価するとは限りません。

たとえば架空の制度として、

急性期病院の常勤経験
→100%換算

クリニック勤務
→80%換算

非常勤勤務
→50%換算

のように決められている可能性があります。

つまり経験年数は同じでも、

前歴の内容によって給与が変わる

ことがあります。


「前歴換算」という言葉を見ることもある

病院や公的な医療機関などでは、

前歴換算

という言葉を使うことがあります。

これは、採用前の職歴を一定のルールで換算し、給与決定に反映する考え方です。

たとえば、

看護師経験8年

でも、前歴換算の結果、

6年相当

として給与表に当てはめる場合があります。

反対に、同種・同程度の職務経験として高く評価されれば、経験年数に近い形で反映される可能性もあります。


求人票の「基本給○万円〜○万円」は経験加算のヒント

たとえば求人票に、

基本給220,000円〜320,000円

と書いてあったとします。

この幅には、

経験

年齢

能力

職歴

などが反映される可能性があります。

ただし、

経験10年だから320,000円

と単純には判断できません。

32万円は、

非常に経験の長い人

管理職経験者

特定の資格を持つ人

などを含めた上限かもしれません。

給与レンジの上限を自分の給与だと思わないようにしましょう。


「経験を考慮」とだけ書いてある求人はどう見る?

求人票に、

基本給220,000円〜300,000円
経験を考慮

とだけ書いてある場合、具体的な計算方法までは分かりません。

この場合は、

何年の経験ならどの程度になるのか

を採用担当者に確認するのがおすすめです。

たとえば、

「看護師経験が10年ありますが、その場合の基本給の目安を教えていただけますか?」

という聞き方です。

これなら非常に具体的です。


看護師経験なら全部同じように評価される?

必ずしもそうとは限りません。

たとえば、

急性期病棟10年

と、

健診センター10年

では、応募する職場によって経験の評価が異なる可能性があります。

急性期病院へ転職する場合、

急性期病棟経験を高く評価する一方、

他分野の経験については換算率を変えることも考えられます。

逆に、健診センターへの転職なら、健診経験を高く評価するかもしれません。

つまり、

「看護師歴何年」だけでなく、「何をしてきた何年か」

が重要です。


診療科の経験も影響する?

勤務先によっては影響する可能性があります。

たとえば、

ICU経験

手術室経験

救急外来経験

透析経験

訪問看護経験

など、募集職種と直接関係する経験を評価する場合があります。

そのため履歴書や職務経歴書では、

「看護師経験10年」

だけではなく、

どこで何年、どんな業務を経験したか

を具体的に伝えることが大切です。


常勤とパートで換算が違うこともある

たとえば、

常勤5年

パート5年

で合計10年の看護師経験があったとします。

この10年間すべてを、

10年の常勤経験

として評価するとは限りません。

勤務時間や勤務日数などによって、パート期間を一定割合で換算する制度も考えられます。

たとえば、

週5日・フルタイムに近いパート

と、

週2日の短時間勤務

では、同じ5年間でも経験量が違います。

勤務先がどのように評価するか確認しましょう。


育休・休職期間はどうなる?

長い職歴の中には、

育児休業

介護休業

病気休職

などの期間が含まれることがあります。

これらを経験年数としてどう扱うかも、給与制度によって異なる可能性があります。

「勤続10年だから、そのまま10年経験として換算される」

とは限りません。

細かい前歴換算ルールは勤務先ごとに確認が必要です。


ブランクがある場合は?

たとえば、

看護師として8年勤務

3年間離職

再就職

というケースです。

看護師経験8年がすべて評価される場合もありますが、

ブランク期間や復職先の仕事内容によって評価方法が異なることがあります。

特に長いブランクがある場合は、

給与だけでなく復職支援や教育体制

も確認するとよいでしょう。


他職種の経験は加算される?

看護師になる前に、

一般企業で5年

働いていたとします。

その5年が看護師給与の経験加算に反映されるかは、勤務先によります。

同職種経験のみ評価する制度もあれば、

他職種の社会人経験を一定割合で評価する制度もあります。

そのため、

社会人経験15年=看護師経験15年として給与決定

とは限りません。


「前職給与を考慮」はどういう意味?

求人では、

前職給与を考慮します

という表現もあります。

これは魅力的に見えます。

しかし、

「今の年収500万円だから、新しい職場でも500万円以上になる」

と保証しているとは限りません。

勤務先の給与テーブルの範囲内で、

経験や前職給与を参考に決定する

という意味で使われている場合があります。

内定前に具体的な金額を確認しましょう。


新卒給与との比較もしてみよう

経験加算の程度を見るには、新卒給与との差を見るのも一つの方法です。

たとえば、

新卒基本給 220,000円

経験10年の提示額 260,000円

なら、

経験加算相当は、

40,000

です。

一方、

経験10年でも230,000円

なら、新卒との差は1万円です。

もちろん給与体系は単純ではありませんが、

経験が実際にどの程度評価されているか

を見る参考になります。


基本給が上がることが重要

経験加算を見るときは、

月給ではなく基本給

にも注目しましょう。

たとえば、

求人A

基本給 260,000円
手当 20,000円
月給280,000円

求人B

基本給 220,000円
経験手当 60,000円
月給280,000円

どちらも月給28万円です。

しかし給与構成は違います。

勤務先によっては、基本給が、

賞与

退職金

昇給

の算定に関係する場合があります。

経験加算が、

基本給に反映されるのか

それとも、

経験手当として支給されるのか

も確認したいところです。


2つの求人を比較してみよう

看護師経験10年の人が2つの求人を検討しているとします。

求人A

基本給
220,000円〜300,000円

経験加算あり

提示予定基本給
270,000

求人B

基本給
250,000円〜280,000円

経験加算あり

提示予定基本給
260,000

求人票だけを見ると、求人Bの最低基本給25万円の方が高く見えます。

しかし実際に経験を評価した提示額では、

求人A 27万円
求人B 26万円

となります。

つまり、中途採用では求人票の最低額だけでなく、

「自分ならいくらになるか」

を確認することが非常に重要です。


夜勤手当込みの月給で比較しない

看護師求人では、

経験10年・夜勤4回の場合 月収35万円

などのモデル給与が表示されていることがあります。

この場合、

経験加算で基本給が高くなっている部分と、

夜勤手当で増えている部分を分けて見ましょう。

たとえば、

基本給 260,000円
資格手当 20,000円
夜勤手当 70,000円

月収350,000円

なら、経験加算を確認するうえで注目すべきなのは主に基本給26万円の部分です。

夜勤手当7万円は、夜勤をした結果の給与です。


経験加算は賞与にも影響する可能性がある

勤務先が基本給を賞与の算定基礎にしている場合、

経験加算によって基本給が高くなれば、賞与額も増える可能性があります。

たとえば、

基本給220,000円
賞与4か月

なら、

880,000

です。

基本給260,000円なら、

1,040,000

です。

差は16万円です。

つまり経験加算は、

毎月の給与だけでなく年間収入にも影響する可能性がある

ということです。


退職金にも影響することがある

退職金制度が基本給に連動している職場なら、経験加算によって高くなった基本給が、将来の退職金にも関係する可能性があります。

ただし、退職金の算定方法は勤務先によって異なります。

第9回で詳しく解説しているので、長期勤務を考えている場合は合わせて確認しましょう。


「経験加算あり」の求人で確認したい7項目

求人票に経験加算の記載があったら、次の7項目を確認しましょう。

何の経験を評価する?

看護師経験全体か、同分野経験だけかを確認します。

何%換算される?

前歴換算のルールがあるか確認します。

常勤と非常勤で違う?

パート経験の扱いも確認します。

ブランクや休職期間はどう扱う?

経験年数の算定方法を確認します。

基本給に反映される?

経験手当など別項目なのかも重要です。

自分の場合はいくら?

経験年数を伝えて具体的な給与額を確認します。

賞与・退職金にも影響する?

基本給連動型の制度なら重要です。


面接でどう聞けばいい?

経験加算は、ぜひ具体的に確認したい項目です。

たとえば、

「看護師として10年の経験があります。この場合、基本給はどの程度になる見込みでしょうか?」

と聞くのがおすすめです。

さらに、

「これまでの急性期病棟での経験は、前歴としてどの程度換算されますか?」

と聞けば、経験分野の評価も確認できます。

パート経験があるなら、

「非常勤で勤務した期間も前歴換算の対象になりますか?」

と確認できます。


内定後は「具体的な基本給」を確認する

「経験加算あり」という説明だけで入職を決めるのはおすすめしません。

内定が出たら、

基本給

各種手当

夜勤手当

賞与

など、具体的な条件を確認しましょう。

特に給与については、

「経験を考慮します」ではなく、「あなたの場合○円です」

というところまで確認してから判断することが大切です。


「経験10年だから高いはず」と決めつけない

経験が長いほど給与が高くなる可能性はあります。

しかし、

経験年数

だけでは決まりません。

勤務先によって、

どんな職場で働いたか。

どんな業務をしていたか。

常勤だったか。

応募先と同じ分野か。

なども評価に影響する可能性があります。

求人票の、

経験加算あり

という4文字を見つけたら、

「私の経験なら、具体的にいくら?」

まで確認しましょう。


中途採用は「求人票の最低額」だけで判断しない

求人票に、

基本給220,000円〜300,000円

と書いてある場合、中途採用者にとって本当に重要なのは、

220,000

でも、

300,000

でもありません。

自分に提示される金額

です。

経験加算のある求人では、その金額が職歴によって大きく変わる可能性があります。

転職先を比較するときは、

求人票の数字を見る。

経験加算を確認する。

自分の基本給を確認する。

賞与を含めて年収を計算する。

この順番で見ると、給与条件をかなり正確に比較できます。


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